異色のアーティスト、シリが『アートリオ16』に作品を出品

異色のアーティスト、リカルド・シリの作品

異色のアーティスト、リカルド・シリの作品

リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの開催に向けて再開発が進められた同市の港湾地区、マウアー広場(Praça Mauá)の一角にあるイベントスペース、アルマゼン(Armazém)で、国内外7ヶ国、73ヶ所のギャラリーが参加する第6回リオ国際アートフェア『アートリオ16』が行われた。

9月29日から10月2日迄の4日間に約4万9千人の来場者が集まったこのアートフェアは、スポンサーとなったブラジルにおける4大銀行の1つブラデスコとブラジル文化省が、主催者の役割を担った。昨年からアートフェアの開催場所となったマウアー広場は、いまやリオ美術館(Museu de Arte do Rio)と明日の博物館(Museu de Amanhã)が隣接し、平日も週末も観光客がひっきりなしに訪れる場所として、魅了するリオの新しい観光スポットとなっている。

アートリオ16の本来の目的は、一般来客者が気軽に芸術を楽しむこと、そしてコレクターとのビジネス、商談スペースを設ける為のものである。現在、ブラジルは芸術作品が生まれる国として国際的にも認められ始めている。特に華やかにオリンピック、パラリンピックを終えたばかりのリオデジャネイロの街は、開催後の今も世界から注目を浴び続けている。このアートフェアの最終日となった10月4日(日)の午後には、入場券を手にする為に一般客が長蛇の列を作った。そして、会場には著名無名アーティストの絵画や造形など、あらゆるジャンルの作品が展示され、その中でも一際注目を集めたコンポーザー、パーカッショニストで音楽革命者のアーティスト、リカルド・シリ(Ricardo Siri)のブースは、極めて他の作品と異なりを見せていた。ミュージック・パフォーマンス、サウンド・アートの作者ではなく、コンテンポラリーアートの作品を発表したのは、前代未聞だ。ドラマーとして、またインドやアフリカのパーカッションをアメリカのロスで学び、今までに3枚のソロアルバムをリリース、2010年にはブラジル音楽賞を受賞する経歴を持つカリオカ、シリ。フォルクスワーゲンのフスカ(Fusca)を解体し、クラクションの音をベースに演奏するシリの代表的なスタイルの一つは、今でも記憶に新しい。現代アートを手がけ始め、もはやドイツ、イギリスやフランスでも個展を開くほどの才能の持ち主、シリが織りなすリサイクル楽器のコレクションから生まれた作品は、視覚から繰りなすサウンドアートとして、世界を代表するブラジリアン・コンテンポラリー・アートの作品として、国境を越え生まれ続けていくのであろう。

(リオデジャネイロ●MAKO)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ11月号に掲載されています。
こちらから購入ができます。