ルベン・ブラデス、マーク・アンソニー、カルロス・ビベスが一堂に会す夢のステージ

ルベン・ブラデスの演奏で幕を開けたソカロのコンサート

ルベン・ブラデスの演奏で幕を開けたソカロのコンサート

メキシコシティ政府主催でルベン・ブラデス、マーク・アンソニー、カルロス・ビベスというラテン三大スターの無料コンサートが、2016年6月11日、同市中心部の大広場ソカロにて開催された。コンサート告知が出たのが、開催2週間前と短く、豪華ラインナップに、最初はデマかと疑っていたが、ルベン・ブラデスの公式ツイッターでも発表されて、現実だと知り驚く。

当日ソカロに着くと、身動きできないほどの群衆で広場が埋め尽くされている。

アンソニーか、 ブラデスのどちらかが、コンサートのトリを飾るだろうと思っていたら、なんと幕を開けたのが、ブラデス!(皆、同様に考えていたらしく、ブラデスの演奏を見逃した人たちも多くいた)ブラデスは、「1982年に作った曲だが、残念なことに、今も行方不明者たちがいる現実は変わらない。この曲をメキシコ・ゲレロ州で行方不明になった43学生の家族たちに捧げる」と、告げ、「Desaparecidos(行方不明者たち)」を歌った。そして、彼とウィリー・コロンの共作名盤『Siembra』収録曲「Pedro Navaja」を演奏。同曲を元にした同名メキシコ映画(1984年)が現地で大ヒットしたこともあり、この日の演奏は、ブラデスのかつてのメキシコ公演で、同曲演奏を務めた、ロベルト・デルガード楽団が担った。同曲で盛り上がりは最高潮に達し、ブラデスは演奏の幕を閉じた。

続く、カルロス・ビベスの演奏前には大粒の雨が降り、中断しそうになるが、コンサートは進行する。ここでは、ビベス目当てで、メキシコ中のコロンビア人たちが集まっているのではないかというくらい、コロンビア国旗を掲げている人々や、コロンビアのTシャツを着て、ソンブレロをかぶった人たちがたくさん。大ヒット曲「Gota Fria」のバジェナートのリズムに、雨のなか大衆の熱気も高まる。ただ、傘をさした群衆の中で踊るのは、不可能だったが。

そして、トリは、マーク・アンソニー。艶っぽいステージに、観客の女性たちを、うっとりさせ、絶叫させていたが、MCでは、「アメリカで起こっていることを知ってほしい。これは、メキシコの人々にとっても、僕にとっても重要なことだ。あいつらは、僕たちラティーノスの力がどれくらいのものか、すぐに思い知ることになるだろう」と、大統領候補ドナルド・トランプへの批判も忘れていなかった。そして、すべてのラテンコミュニテイに捧げる曲として、エクトル・ラボーの代表曲「Mi gente」を歌い、幕を閉じた

(メキシコ●長屋美保)

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