チリのバンド、ロス・トレスのMVが問題に?

1990年代以降、チリのロック界を牽引してきたバンド、ロス・トレス。そんな彼らが年明けを祝うとともに現地時間1月1日午前0時ちょうどに発表した曲「Hey hey hey」のミュージックビデオが暴力、女性差別を助長するものとして大きな波紋を呼んでいる。
 歌詞に即したストーリー仕立てに撮影されたこのミュージックビデオ、ある男が不貞を理由に妻を殺すという内容だ。監督はチリ人映画監督のボリス・ケルシア。
 問題のビデオに対し、ロレート・セゲル国家女性省(Sernam)大臣が「争いごとをこのような暴力的、差別的な方法で解決することを肯定しており、罰されるべき。チリにこのようなビデオは不要」とTwitter上で批判、炎上を招いた。
 ビデオはロス・トレス・オフィシャルサイトにてこの曲がバンドにとって新たな第一歩となるとして発表された。この曲の作曲者であり当ビデオのプロデューサーでもある、ロス・トレスのリードボーカル、アルバロ・エンリケスはメディアのインタビューに「このビデオが女性差別的殺人や暴力を教唆だと考える人は心が病んでいると思う。ロス・トレスは女性差別には大反対なんだ。嫉妬深いシェイクスピアが悲劇『オセロ』を書くに至ったのと同じようなことだ」と答えている。また、彼は「この曲やビデオのテーマは『極限に至った人間の行動はなんて興味深いんだ』ということ」とコメント。
 ビデオに出演した2人の女性のうちの1人、映画などでも活躍するチリ人女優マリア・ルイサ・マジョルは「このビデオは女性差別に反対の意を表している」とし、セゲル大臣のTwitterでの発言に対し「とても残念」と返信し、さらに「当局が否定的な発言をする前は多くの視聴者から肯定的なコメントをもらっていた、これは当局が勝手に仕掛けたことだ」と発言した。
 またこの議論はチリ国内だけでなく、スペインにまで波及している。遠く離れたスペインで激しい議論の的となっているのが、当ビデオのキャストであるガリシア出身の俳優ルイス・トサル。ジェンダー問題の解決を目指し活動するガリシアのNGO団体Implicadas No Desenvolvementoが主催するフェスティバルへ2008年より毎年出演していたルイス・トサルだが、このビデオへの出演を受け、フェスティバルより追放されるという形になった。トサル自身は同団体の公式サイトにて謝罪文を発表した。
 女性差別に反対するメッセージのつもりが裏目に出てしまったのか、現在は世界中から否定的な意見が寄せられている模様だ。Sa

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