ウルグアイ南米初の大麻合法化?

現地の今週水曜日、南米のウルグアイで大麻の合法化法案が下院を通過した。このままいくと、近い将来、ウルグアイは南米で最初の大麻が合法の国になる。これだけ聞くととても麻薬が合法化される国なんて…と多くの日本人なら考えてしまうだろうが、実はこの合法化には全く逆の意味が込められているものなのだ。

「世界でもっとも貧しい大統領」として、とても有名になった同国のムヒカ大統領は、この法案が下院を通過した翌日にラジオを通してこのように語った。「私は年寄りだ。今まで一度もマリファナを吸ったことはない。しかし若者がどのようなくらしをしているかは分かっている」。そう語りながら、多くの若者が麻薬の過剰摂取が原因で死ぬことになり、何百人という人間が麻薬密売組織によって殺されることになっている現実を嘆いた。「なにより最悪なのはいつまでたっても麻薬を根絶することができない。今こうしている間にも違法に流通しているんだ。なぜなくならないかって?もちろん密売組織がものすごい利益を上げられるからだ」。もちろんこの言葉には、逆に政府が大麻の合法化を認めれば、そこから上げられていた利益を手に入れられず、ついては密売組織根絶につなげられるということが狙いなのはもちろんだ。

それでもこの法案が下院を通過するときにはもちろん物議を醸した。96名が所属する下院では、50名が賛成票を投じ、今後、上院でもおそらく可決されるとみられている。ここ最近では、アメリカのコロラド州やワシントン州が大麻を合法化したことで注目された。しかし今回のこのウルグアイや、2009年のメキシコで少量所持については合法化されたのは、より麻薬密売組織に対する意識が強い。

今回の法案では、ウルグアイ政府が生産者、販売者、消費者すべてをコントロールし、月間の消費量が40gを超えないようにするとしている。実際、メキシコでは政府が2006年から軍3万6000人を投入して麻薬密売組織やギャング団の取り締まりを開始してから、悪化の一途をたどっている。今回ウルグアイが先陣を切って問題への着眼点を変えて立ち向かっていく。(d)

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