人工妊娠中絶禁止国の被害者が回復へ

世界の平安を維持するためには法律はなくてはならないものだ。しかしその法律は、科学技術の発展や時代背景など様々な形でその都度ある程度の変化が求められていく。しかし世界にはその変化が遂げられずに悪法として、いまだ改善されることなく残ってしまっている法律もたくさんある。その一つが女性の健康被害を防ぐためであっても人工妊娠中絶を禁止する法律だ。

22歳のエル・サルバドル人女性のベアトリスさんは子供を授かったものの、残念ながらその赤ちゃんには脳がなかった。もちろんこの状態では出産した場合にその赤ちゃんが生きられる可能性は限りなくゼロに近かった。その上、ベアトリスさん自身は狼瘡と腎不全に苦しんでおり、彼女の生命は危機にさらされていた。しかしエル・サルバドルの法律ではどんな理由であれ、人工妊娠中絶は禁止されており、過去には中絶を行った女性が殺人罪で起訴され、懲役30年の実刑を言い渡されたこともあった。今回のケースであっても例外ではなく、エル・サルバドルの最高裁は人工妊娠中絶を法律に則って認めなかった。もしベアトリスさんに人工妊娠中絶を行った場合、彼女と施術した医師が同様の罪を問われることになってしまう可能性があった。病院は現地の月曜日に妊娠27週目で帝王切開で出産させた。残念ながら赤ちゃんはその5時間後に死亡したが、ベアトリスさんは今、回復傾向にあるという。

エル・サルバドルのマリア・イサベル・ロドリゲス保健相は、最高裁の決定を批判し、女性の健康を危険に陥れたとして、法律改正の必要性を訴えた。ベアトリスさんは今回の妊娠で体験から不妊手術を受けたという。中学生、高校生が簡単に人工妊娠中絶を行う日本もどうかとは思うが、今回のように母胎の生命を危機にさらし、本人が中絶を望んでいる場合でも認められないというのは、悪法としか言えないだろう。(d)

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