ハイチ新大統領就任から2ヶ月

 2010年に発生したハイチの大震災。その復興への道は未だ厳しい。そんな中今年5月に新たに就任したミシェル・マテリ大統領はどのように復興へ向けて動いていっているのだろうか?

 今年5月に就任したマテリ大統領はもともとミュージシャン、コンパの歌手だ。議員など政治的な経験は皆無だったが、おもに貧困層からの得票を伸ばし見事当選した。

 しかし就任から2ヶ月たった今、政治的にはなかなか難しい状況だ。というのも彼の所属する自立農民党は議会では少数派。一度は首相候補を立てて議会の承認を得ようとしたものの、逆に却下されている始末だ。

 しかしそんな中でも避難民や新たにやってくるハリケーン・シーズンは待ってくれるわけはない。しかもそんな中キャンプサイトの一つ、サッカースタジアムの駐車場で、そこにいた数百人の避難民に対して、新たな避難先を与えるでもなく、お金を払ってその場を離れるように指示していたことが新たな批判を呼んでいる。もちろんこれは大統領から直接出された指示ではない。マテリ大統領は「再三にわたって言っているが、私の政府は人権を侵害するような立ち退きをさせることについては反対だ」とした上で、現在避難している人のうちおよそ3万人を復興された16の地区に戻すことを約束した。

 しかし全体としては60万人を超えるとも言われる避難民がおり、震災から1年半たった現在でもテント生活を余儀なくされている。今後も議会との運営が焦点となるが、ハイチ政府にはより早い復興への道がたどられることを祈る。今は政治的な立場で争っているよりも復興に向けて進んでいってくれればどこの政党でもかまわないというのは国民の本音ではないか?どこの国でも政治家は復興の足を引っ張ることしかできない。(d)

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