米国を追放されたハイチ人がコレラで死亡

約一年前にハイチを襲った大地震以降に米国から国外追放を受け、ハイチ国内の刑務所に投獄されていたハイチ人受刑者一名が、コレラと似た症状で死亡していたことが1日、移民擁護活動家たちの報告で判明した。

死亡したウィルドリック・ゲリエさん(34歳)は、昨年1月20日に他のハイチ人26名と一緒に米国から国外追放を受けてハイチに入国していた。彼らは米国内で何かしらの罪を犯したとして、国外追放されていた。また、地震発生から初めて追放命令を受けた27名でもあった。

ハイチは昨年1月の大地震後、コレラ菌蔓延による伝染病コレラによって4000人の死者を出し、今でも20万人の感染者を抱えている。そのように危険な状況でありながらも、国外追放者を送り込んだ米政府に対し、民間活動団体から非難する声が上がっている。

マイアミの活動家たちは、ゲリエさんが生活していた刑務所内の不衛生面を強調し、非常に死亡リスクが高かったと指摘する。米国を出国する時点では、ゲリエさんの健康状態は良好であったが、その後刑務所内において、他の17人の受刑者とともに狭い個室に押し詰められ、嘔吐や激しい下痢を始めとする症状に見舞われた。また現在、同刑務所内の受刑者の一部にもゲリエさんと同様の症状が出ていると報告されている。

米国入国管理局(ICE)は今後も有罪のハイチ人を国外追放する方針を固めており、今年は約700人をハイチに送る見通しを立てている。ICEはゲリエさんの死亡についての質問状を首都ポルトー・プリンス市に送っているが、未だ何の情報も得られていない。

現在までに多くの活動団体が、国際人権委員会に「国外追放の取り止め」を求めて声を上げてきているが、今回の事件を機にようやく正当な人権問題として議論が始まりそうだ。tae

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