カーニヴァルの名門チームが自慢の打楽器隊の人数を削減へ

ジョナス
 カーニヴァルの世界で“Bataria nota dez”(バテリア・ノータ・デイス=10点満点の打楽器隊)と言えば、自身のチームの打楽器隊に誇りを持つがゆえの呼称で、カーニヴァルの審査基準が項目ごとに10点満点であることに起因している。現在ではどこのエスコーラ(チーム)も普通に使用する言い方で、更にこれの派生語で“100点満点”や“1,000点満点”というチームもある。

 この呼び方はもともとメストリ・アンドレが率いたモシダーヂ・インデペンデンチの打楽器隊を賞賛した言い方がルーツ。事実モシダーヂは『バテリア・ノータ・デイス』と言うアルバムをシリーズ化して当時リリースしていた(現在ではフランスのレーベルから再発されている)。メストリ・アンドレはサンバのパレードに初めてブレイクを取り上げたことでも有名。余談だが人気パゴーヂ・グループでスルドを担当するアンドレジーニョはメストリ・アンドレの実子である。

 さて前置きが長くなってしまったが、この“10点満点の打楽器隊”、今年のカーニヴァルで8位に終わったモシダーヂは、来年のカーニヴァルに向けてちょっとした改革を予定している。シンプルな方法ではあるが、40人人員を削減するというもの。310人から270人への減員が予定されている。

 カーニヴァルの審査結果において、上位チームの差はほとんどない。例えば今年優勝したベイジャ・フロールと8位のモシダーヂの点差は4.2ポイント。つまり優勝するには減点されない完璧なパレードが要求される。不安要素を取り除くことが上位進出への必要条件だ。

 年々巨大化してきていたモシダーヂの打楽器隊は、今年のカーニヴァルで進行が遅れパレードに穴が空くという状態を生み出し、0.5ポイントの減点を余儀なくされた。

 リオデジャネイロカーニヴァル協会が定める打楽器隊の最少人数は250人。現在の打楽器隊の総責任者、メストリ・ジョナス(写真)は自分の手がける打楽器隊が“増殖中”だと語る。「この職を引き受けて2年経つが、巨大化を容認していたところがある。減らしましょう。250人に近づけて、より良い打楽器隊を作るよ」

 ジョナスによると進行の問題だけでなく、カーニヴァル会場の音響システムが年々良くなり、もうこれ以上の人数は必要ないそうだ。「カーニヴァルが近づいて来ないと練習に来ないやつがいっぱいいるんだ。そいつらはクビ」。落選した者は“アーラ・ヂ・コムニダーヂ”というパートでパレードすることになる。

 バテリア・ノータ・デイス、復活なるか。F

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