売り卵のコンビのアナウンス多数の作曲家をインスパイア

Mr.Sanのyoutubeより

Mr.Sanのyoutubeより

5月17日に大手テレビ局グローボにより、食品会社の社長とテメル大統領の会話スクープされた。汚職で捕まっている議員の口止料の支払いを大統領が容認する録音内容がブラジル中で大ニュースとなった。
このスクープによって、サンパウロやリオを始めとしたブラジル各地都市で国民の怒りの集会が続発。カエターノ・ヴェローゾ、シコ・セーザル、トゥリッパ、マノ・ブラウン、オットー、マリア・ガドゥなどのミュージシャンたちもライヴ集会に参加。テメル大統領の退任、そして直接選挙の要求を訴えた。サルヴァドールでも6月11日にバイアーナ・システムとエミシーダがバーハ灯台前で、集会ライヴを行う。政界事情とともに、経済事情も依然暗雲が漂っている。
国民が切り詰めて生活していかなければいけない時期、安売り卵のコンビ(ワーゲンバスのブラジルバージョン)が路上を徘徊し始めている。「卵30個でたった10レアル!」とマイクでアナウンスしながら、路上をゆっくり走りながら販売している。スーパーなら1ダースで10レアル以上するので、この値段は庶民にとってお得な買い物だ。喜ぶ庶民もいるが、繰り返し流れるアナウンスにイライラし、ストレスを感じる人もいる。それでも安売り卵コンビは、連日サルヴァドール市内を徘徊し、筆者の家にも路上からのアナウンスが耳に入ってくる。ピシリコのヒット曲「Chupeta」を作った作家ベッカビエイラも自宅でいつもこの安売り卵のアナウンスを聞き、頭から離れなかったらしい。これをテーマに5分で作曲してしまった。「30個の卵がたったの10レアル〜、こっちにおいで、世の中不景気だ、財布の中身も軽いのに、全てが金と同じ値段、でも僕は解決策がある、バーゲンだ、庶民の食卓に安い卵、一度買ったらやみつきになる、卵のムケカ(食べたいよ)!目玉焼き(食べたいよ)!ゆで卵(食べたいよ)!おいしくて身体にいい!」という歌詞で、バイーアのパゴーヂ風リズムにメロディー。歌詞も単純だが、メロディーも単純で一度聴くと忘れられない。だが、このパゴーヂバージョン以外に安売り卵の歌を作っている作家が他にもいる。Mr.Sanは、ファンキカリオカバージョンで、「安売り卵のアナウンスがうるさくて耐えられないよ」とパロディー風に歌っている。
またプロテスタント信者の卵販売者ために、ゴスペルの歌をBGMにしたアナウンスCDをYoutubeを通じて販売するものもいる。作家たちにとってこの安売り卵はいい作品作りのネタにもなっているようである。

(サルヴァドール●北村欧介)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ7月号に掲載されています。
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