ブラジルにおける乳がん啓発キャンペーン、ピンクリボン

キャンペーンに参加したムリェーリス・ヂ・シコ

10月4日の夜、世界的に有名なリオデジャネイロの観光スポットとして知られるキリスト像とポン・ヂ・アスーカルが、またたく間にピンクにライトアップされた。世界規模で毎年10月に行われている乳がんの啓発キャンペーン、ピンクリボン(Pink Ribbon)の記念行事の一環としてである。

現在、ブラジルの乳がん患者は、がん患者全体の25%を占めている。乳がんについての研究がまだまだ浅かった時代に、正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進するという目的で、80年代にアメリカ合衆国の小さな町で始まったというこのキャンペーン。乳がんで死亡した母親が、同じ悲しみを繰り返さないよう、願いを込めて手渡したものが、ピンク色のリボンであったことがきっかけとなったという。乳がんの恐ろしさ、知識を深めるきっかけを広め、アメリカ全土はもとより、ヨーロッパ、アジアなど全世界的に広まったキャンペーンは、その後もちろんブラジルにも広がった。

2002年10月2日にリオデジャネイロのジェトゥリオ・ドルネレス・ヴァルガス大統領の独裁政権に反対して反乱が起きた1932年から70年後の記念として、サンパウロに位置するイビラプエラ公園にそびえるオベリスク・バンデイランテス記念碑がピンクにライトアップされた際に、評判あるヨーロッパの化粧品会社などの支援を受け、女性グループが乳がんのキャンペーンを働きかけ、実施するきっかけを作ったのだというのが、ブラジルにおいてのヒストリーである。そして、2008年にリオデジャネイロに初めてキリスト像が、ピンクにライトアップされ、キャンペーンが行れる毎年10月の恒例となっている。

ブラジル国内有数のがん専門病院であるリオ州の国立がん医療センター(Inca)は、チジュカ地区に乳がんを専門とする病院がある。そして、乳がんの知識啓発キャンペーン期間中には、リオデジャネイロでも各地で音楽イベントが行われ、10月27日Mulheres de Chico(シコ・ブアルキの楽曲をテーマに、総勢20名以上の女性ミュージシャンのみで構成されるカルナヴァル・ブロコ)は、Incaの乳がん医療センターの中庭で癌と闘う癌患者さんや癌を克服した患者さん達、そしてその関係者の人達と共に音楽ライブイベントを行った。末期ガンと闘う患者さん達が涙を浮かべながら音楽を楽しむ姿は言葉には出来ない感動を生み出し、生きているという瞬間と喜びを分かち合いながら、共に音楽を楽しみ、心を震わせながら過ごす1日となった。

(リオデジャネイロ●MAKO)


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