『イパネマの娘、愛はボサ』ミュージカルがリオで公開

ZecaとDindiの愛の物語が往年の名曲とともに繰り広げられる

ZecaとDindiの愛の物語が往年の名曲とともに繰り広げられる

音楽監督として天才女流ピアニスト、デリア・フィシェルとホベルト・メネスカルが指揮をとるミュージカル、スタンダードのボサノバで綴られた恋愛ストーリー〝Garota de Ipanema, o amor é bossa〟『イパネマの娘、愛はボサ』が、8月26日にリオデジャネイロのセントロ地区シネランヂア駅に新しく再建築された劇場〝Teatro Riachuelo Rio〟でこけら落としを迎えた。かつて〝Cina Palácio〟として2008年まで映画館として愛され、リオの歴史的建造物の一つとして愛され続けていた劇場が、新しく生まれかわったのだ。

イパネマの娘は、ブラジルのアントニオ・カルロス・ジョビンとヴィニシウス・ヂ・モライスが1962年に生み出したボサノヴァ歌曲であり、この作詞・作曲を手掛けた二人は、2016年夏季リオデジャネイロ・オリンピックとパラリンピックの公式マスコットとなり、世界的に知られる代表的な音楽として、改めてボサノヴァが重要なブラジルの文化の一つであることを再認識させられたばかりである。

ミュージカルの物語は、ボサノヴァが生まれた50年代後半に、南地区(ゾナスール)に生まれたカリオカ、建築家のZecaとリオ郊外、リオの海岸に程遠い地区、メイアー出身で歌手になりたかったDeolinda(愛称、Dindi)が出会い、そして異なる生活環境にある二人が恋に落ちるというラブストーリー。その他キャストとして登場する、トム・ジョビン、ホベルト・メネスカル、ヴィニシウス・ヂ・モライス、そしてボサノヴァの名曲〝Samba do avião〟、〝Ela é carioca〟、〝Chega de saudade〟や〝Carta ao Tom 74〟など美しい歌と共に、トータル約40曲のボサノヴァが、素晴らしいアレンジと共にバンドによる生演奏で語られる。舞台は椅子に腰掛け一本のギターで歌う、ボサノヴァのスタンダードスタイルのシーンで幕が開く。1950年代後半からの音楽ムーブメントから60年代半ばに起こった軍事独裁政権時代の背景も見せながら描かれる時代の変化、そしてZecaとDindiの互いの愛の形がロマンチックにそして情熱的に綴られる。

革命的な政治形態の中に生きた時代の若者達の生き方を通し、時代の流れを作ったBosa Novaは、その魅力てある音楽性・ハーモニー・コード感の深さ、シンプルかつ革新的なスタイルでその後MPB(ブラジルポピュラー音楽)にもっとも影響を及ぼすことになる。ブラジル音楽、ボサノヴァの魅力が詰まったこのミュージカルは、同劇場で11月27日まで上演される。

(リオデジャネイロ●MAKO)


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