ビオレータ・パラの壮絶な人生を映画化

ビクトル・ハラとともにヌエバ・カンシオンの先駆け人でもあり、チリを代表するフォルクロリスタ、ビオレータ・パラの生涯を描いた映画『ビオレータは空の彼方に(Violeta se fue a los cielos)』がアンドレス・ウッド監督のもと制作された。チリでの公開は今月11日に控えている。

生涯貧しさとは縁切れず、波瀾万丈な人生を送った女性音楽家として有名なビオレータ・パラ。幼い頃から父親の影響でギターを弾き始め、その才能から海外での活躍も目覚ましく、チリのフォルクロリスタとして世界中を旅して渡った。音楽活動の他、刺繍や絵画の分野でもたくさんの作品を残している。

色恋沙汰が多かったビオレータは、結婚、離婚を経験し、最後の恋人と破局した後の1967年、銃で自らの命を絶った。その当時の苦しみを表現したのが名曲「人生よ、ありがとう(Gracias a la vida)」で、メルセデス・ソーサらのカバーとしても非常に有名だ。ビオレータは「人生よ、ありがとう」を作曲しているとき、指を血まみれにしながらギターを激しく弾き続けていたというエピソードも。

「ビオレータはたくさんの入口と出口を経験してきた」とウッド監督。また、主役ビオレタ役を演じた女優フランシスカ・ガビランは「勇敢で、母らしく、愛らしく、洗練されたユーモアのある女性」とビオレタについて語る。フランシスカ・ガビランはビオレータ本人にそっくりなだけでなく、現在音楽家として活躍しているビオレータの実息子アンヘル・パラとともに撮影に向けてギターと歌の練習に専念し、素晴らしい演技を見せつけた。また、息子アンヘルも本映画に出演している。

ストーリー性たっぷりの人生を歩んだビオレータ・パラの映画化は喜ばしいことだが映画館上映のみというのは非常に残念。tae

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