ACABOU LA TEQUILA アカボウ・ラ・テキーラ
 カシンが在籍していたハード・コアバンド。1997年に『オ・ソン・ダ・モーダ(流行歌)』という作品を発表。パンクな内容に「流行歌」というタイトルを付けるセンスは、レトロ感も感じられる歌ものアルバムに『フューチャリズモ(未来派)』と名付けるセンスに直結している。この頃からすでに、ドメニコが録音に参加している。この時カシンは弱冠18才。
ADRIANA CALCANHOTTO アドリアーナ・カルカニョット
 独特の感性を持ったアーティストとして第一線で活躍し続ける女性アーティスト。「アドリアーナ・パルチンピン」名義で発表した2005作『オ・ショー』では、カシン作「クアンド・ナラ・ヒ」を取り上げ、2002年作『 アドリアーナ・カルカニョット/カンターダ』は、一部カシンがプロデュースしている。「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」をバックにライヴを行ったこともあり、彼らにとって頼れるあねご的存在だ。
ALEXANDRE KASSIN アレシャンドリ・カシン
 ベース、ギター、プログラミング、シンセサイザー。自身が運営する”Monoaural studio”を拠点に精力的な創作活動を続け、プロデューサー、コンポーザー、プログラマー、ベーシストとして、カエターノ・ヴェローソ、ベベウ・ジルベルト、アート・リンゼイ、レニーニ、宮沢和史、サイゲンジ等の作品を手掛けてきた“90年代以降のブラジル音楽シーン影の立役者”。卓越したセンスと膨大な音楽知識、一流のプレイヤビリティとリスナー感覚で、ブラジル音楽新世代派の旗頭として全世界から一目を置かれる存在。
ARTO LINDSAY アート・リンゼイ
 ブラジル生まれ、ニューヨーク育ちの才人。『カエターノ・ヴェローゾ/エストランジェイロ』『マリーザ・モンチ/アモール、アイ・ラヴ・ユー』等々、プロデューサーとして手掛けてきた名作は数知れない。カシンは、アート・リンゼイの2005年作『ソルト』のプロデューサーをつとめ、『カシン+2/フューチャリズモ』でも、「アンチス・ダ・シューヴァ[雨が降る前に]」をカシンと共作している。
ARTIFICIAL アーティフィシャル
 カシンのソロ・プロジェクト。ゲームボーイを楽器の代わりに使ったアルバム『フリーUSA』を2005年に発表し、エレクトロニック・ミュージックの世界的祭典のソナー・ミュージック・フェスティバルにも出演している。
ATOM HERT アトム・ハート
 セニョール・ココナッツ名義で『イエロー・フェイヴァー:プレイズYMO』を発表したばかりのドイツ出身チリ在住のエレクトリック音楽の奇才。『モレーノ+2/リミックス』にアトムTM名義で参加している。なお、ブラジルでの彼らの盤のリリースは、カシンも所属するインディー・レーベル、pingpong。
BEBEL GILBERTO ベベウ・ジルベルト
 ボサノヴァの創始者、ジョアン・ジルベルトの娘。ブラジル音楽とクラブミュージックの融合の理想型を最も早く提示した女性アーティスト。2001年『タント・テンポ』2004年『ベベウ・ジルベルト』といったオリジナル・アルバムを発表している。2001年の『タント・テンポ(リミキシーズ)』に、カシンがMonoaural名義で参加している。
BEBETO CASTILHO ベベート・カスチーリョ
 単に、ベベートと呼ばれることも多い。元タンバ・トリオのベース/ヴォーカル。1976年の『ベベート』以来の久々のソロ・アルバム『アメンドエイラ』をビスコイト・フィーノより今年発表。その作品のプロデュースを、カシンとロス・エルマーノスのマルセロ・カメロが担当が担当した。マルセロ・カメロは彼の甥でもある。
CAETANO VELOSO カエターノ・ヴェローゾ
 2005年にも来日しているブラジル音楽界の最重要人物のうちの1人。モレーノ・ヴェローゾの父親であり、『モレーノ+2/タイプライター・ミュージック』のブック・レットでは、モレーノがカエターノに向け、「あなたがいなければ僕は音楽から遠いところにいたでしょう」と敬意を表している。カエターノとジョルジ・マウチネスの作品『オレは謝らない』では、カシンがカエターノと共に作品をプロデュース。2002年の事で、このころから、カシンがリオデジャネイロの音楽シーンでキーパーソンとして浮上してきた。流石カエターノ、お目が高い。
CIDADAO INSTIGADO シダダゥン・インスチガード
 今後の活躍が期待されるサンパウロのロック・バンド。ヴォーカルのカタタウは、イギリスのフェスティバルでカシンと一夜限りのトロピカリア・バンドを結成する。カシンにとって、カタタウは今もっとも気になるコンポーザーだという。
CORNELIUS コーネリアス 
 90年代から、出す作品全てが最大級の注目と最大級の賛辞を浴びてきた、日本のポップ・アーティスト。カシン・プロデュース『アート・リンゼイ/サルト』では、日本盤のボーナス・トラックスに、リミックスで参加している。
DADI ダヂ
 第四のトリバリスタとも呼ばれる。ノヴァス・バイアーノス、マリーザ・モンチのバックバンドでも活躍する信頼の置かれている一流プレイヤー。2005年に長い音楽活動の中で、初めてのソロ・アルバム『DADI』を発表。そのアルバムのプロデューサーが、今回の来日に同行するキー・エンジニアのダニエル・カルヴァーリョ。ダヂの息子でもある。『DADI』の録音には、来日メンバーの内、ドメニコ、カシン、ステファンが参加。カエターノ、アート、マリーザ、ジャキス・モレレンバウムらのMPBの大御所と、今回来日する若い世代が一同に会した『DADI』は、キーとなるアルバムだ。
DANIEL CARVALHO ダニエル・カルバーリョ
 ここに登場する界隈の人々が信頼するレコーディング・エンジニア、PA、キーボード奏者。ダヂの息子でもある。ブラジル音楽界を影で支える男達を、そのまた影から支える頼れる男。父のアルバム『DADI/DADI』のプロデュースもしている。「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」の来日公演にも、彼が同行してくれる
DAVI MORAES ダヴィ・モライス 
 マリーザ・モンチの元パートナーであり、『アモール、アイ・ラヴ・ユー』で聴ける独特のギターは彼のものだ。自身でも、素晴らしいソロ・アルバム『パポ・マカコ』『オリシャー・ムタンチ』という作品を発表しているが、来日組との関連作品だと、カシン・プロデュース『オレは謝らない』と、ダニエル・プロデュース『DADI』等にギターで参加している
DOMENICO LANCELOTTI ドメニコ・ランセロッチ
 90年代の伝説のカットビ・ロック・バンド「ムリェーリスキヂーゼンシン」のドラマー。サンバ、サンバロック、ロックとありとあらゆるジャンルの音楽を繰り出すドラミングは必見。父は正当派サンバ・正当派ボレロの偉大な作曲家&歌手、イヴォール・ランセロッチ。2001年5月には「モレーノ+2」で来日公演し、2002年6月に、ドメニコ+2『シンシアリー・ホット』をリリース。昨年リリースされたサイゲンジの『Acalanto』ではドラムを担当。画家であり造形作家でもある、まさにアーティスト。

IVOR LANCELLOTTI イヴォール・ランセロッチ
 ドメニコの父親のサンバ歌手。『イヴォール・ランセロッチ/永遠のボレロ』をモレーノとドメニコがプロデュースし、録音には、カシンやダニエルも参加している。
JOAO DONATO ジョアン・ドナート
“もう1人のジョアン”としてボサノヴァ期から活躍する奇才・鍵盤奏者/コンポーザー。若い世代からのリスペクトも厚く、多くの作品にゲスト参加している。『カシン+2/フューチャリズモ』にも参加。
JORGE MAUTNER ジョルジ・マウチネル
 トロピカリア・ムーブメントのカリスマ。ジルベルト・ジル、カエターノらとの親交は未だに深い。カエターノとジョルジ・マウチネスによる2002年作『オレは謝らない』をカシンがプロデュースしている。また、マウチネスのソロ作をもカシンがプロデュースしている最中だ。『カシン+2/フューチャリズモ』にはタイトル曲に参加。
KAZUFUMI MIYAZAWA 宮沢和史
 THE BOOMのヴォーカルであり、ソロとしても幅広い活動を続ける視野の広いアーティスト。日本にワールド・ミュージックを広める重要な役割も担ってきた。カシンとモレーノが彼のソロ・アルバム『MIYAZAWA』に参加している。また『THE BOOM/SHIMA UTA』にもカシンが参加している。
LENINE レニーニ
 ブラジル“旧”新世代を代表するアーティスト。スザーノとのユニットでの『魚眼』をはじめ、数々の名作アルバムを送り出している。未だにそのクリエイティビリティーに陰りがみえない。『ファランジ・カニバル』の一部にカシンがプロデューサーとして参加している。
LOS HERMANOS ロス・エルマーノス
 ブラジルのロック少年・少女に圧倒的に愛されるロック・バンド。メンバーは、マルセロ・カメロ、ホドリゴ・アマランチ、ブルーノ・メヂーナ、ホドリゴ・バルバの4人。カシンが関わり始めた2nd『ブロコ・ド・エウ・ソジーニョ』から音楽的に進化を遂げた。3rd『ヴェントゥーラ』、4th『4』をカシンがプロデュースをしている。DVD『ロス・エルマーノス/ノ・シネ・イリス』ではカシンと彼らが一緒に曲作りをする様子を伺うことができる。来日する「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」とともに、現代のリオを代表しているバンドだ。
MARCELO CAMELO マルセロ・カメロ
 ロス・エルマーノスの2枚看板のうちの1人。ベベートの最新作『アメンドエイラ』をカシンと共にプロデュースした。ベベートの甥でもある。メロディー・メーカーとしての評価は非常に高く、マリア・ヒタが好んで彼の作品を取り上げることでも有名。
MARCOS SUZANO マルコス・スザーノ
 いわずも知れた一流パーカッショニスト。「+2」ユニットの作品では『モレーノ+2/タイプライター・ミュージック』に参加している。以後、録音には参加していないものの、リオの”兄さん”的ミュージシャンのスザーノと、プライヴェートでの交流は続いている。
MARISA MONTE マリーザ・モンチ
『私の中の無限』『私のまわりの宇宙』という2枚のアルバムを今年同時発売したMPB界の才女。カシンは2000年作『アモール、アイ・ラヴ・ユー』にプログラマーとして参加している。ドメニコも同作にドラムで参加している。
MORENO VELOSO モレーノ・ヴェローゾ
 父親はトロピカリズモの創始者のひとりで、ブラジル音楽界の最重要アーティスト、カエターノ・ヴェローゾ。カエターノの作品には曲も提供し、リミックスも手掛けている。名作『プレンダ・ミーニャ』にはゲスト参加。カシン、ドメニコ、アンドレス・レヴィンらと創った初のリーダーアルバム、モレーノ+2『タイプライター・ミュージック』を2001年1月にリリース。同年5月には来日公演も果たし、日本の音楽ファンに熱狂的に受け入れられた。操る楽器はギター、トランペット、チェロ、パンデイロととにかく多彩な才能の持ち主。物理学が得意。
MUSHA 1 ムシャ・ワン
 カシンが全面サポートしたアルバム『MUSHA 1』を制作している日本人アーティスト。また別の顔は、『ブラジリアン・サウンド』『ミステリー・オブ・サンバ』といった訳書を発表している翻訳家でもある。
MUTANTES ムタンチス
 プロデューサーとしてムタンチスの音楽的キー・パーソンであったホドリゴ・ドゥプラ。2006年に行われているイギリスのトロピカリア・フェスティバルで、彼がカシン、シダダゥン・インスチガードのカタタウと、ナサゥン・ズンビのドラマー、プピーロと、ハイラマズのショーン・オヘイガンを率いて、トロピカリアを現代に甦させる。
NACAO ZUMBI ナサゥン・ズンビ
 ペルナンブーコ出身のマンギ・ビートを創造したバンド。マンギ・ビート・バンドが乱立するマンギ・ビートの攻勢期は過ぎたが、彼らの勢いは衰えない。最新作『フトゥーラ』にカシンが参加している。また、ドラムのプピーロが、イギリスのフェスティバルで、カシンとトロピカリア再現バンドで共演する。
NELSON JACOBINA ネルソン・ジャコビーナ
カシン・プロデュース作『オレは謝らない』で、ジョルジ・マウチネスの重要な共作者として活躍するギタリスト。フビーニョ・ジャコビーナの兄でもあり、フビーニョのアルバムにも参加している。『カシン+2/フューチャリズモ』にもヴィオラゥンで参加。
ORQUESTRA IMPERIAL オルケストラ・インペリアル
 本ページで紹介するアーティストでは、モレーノ、ドメニコ、カシン、ステファン、ペドロ・サー、ホドリゴ・アマランチ、タルマ・ヂ・フレイタス、ネルソン・ジョコビーナ、フビーニョ・ジョコビーナ、ウィルソン・ダス・ネーヴィスが参加する総勢19人の大所帯バンド。録音はまだないが、彼らのライヴはリオの若者の間では有名で、すぐに2000人規模の会場が満員になる。録音作品なして海外での公演に呼ばれることも多くなった。作品が発表されれば、シーンの台風の目になることは間違いない。
OTTO オット
 元ムンド・リブリのヴォーカリスト/コンポーザー/プロデューサー。『サンバ・プラ・ブッホ』『コンドム・ブラック』『セン・グラヴィダーヂ』等のソロ・アルバムを発表している。次回作のプロデュースにカシンが参加している。
PEDRO SA ペドロ・サー
 カエターノ・ヴェローゾの2005年の来日公演でもすばらしいギターを披露してくれたスーパーギタリスト。参加作品は数知れないが、特にカエターノやレニーニ作品でのプレイは印象深い。「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」ユニットの準メンバーでもあり、オルケストラ・インペリアルにも参加する。
RODRIGO AMARANTE ホドリゴ・アマランチ
 ロス・エルマーノスの2枚看板のうちの1人。オルケストラ・インペリアルにも参加する。カシンたちとの交流も長く、カシンのデビュー作である『アカボウ・ラ・テキーラ/オ・ソン・ヂ・モーダ』にも彼は参加している。プレイヤビリティーも一流で、ブラジルのインターネット投票で行われた2005年の最優秀プレイヤーにも選ばれている。ブラジルのロック少年・少女の憧れの的だ。コンポーザーとしても一流。
RUBINHO JACOBINA フビーニョ・ジャコビーナ
 ペドロ・サーとバルトーラというオルケストラ・インペリアルの2人のプロデュースで『フビーニョ・イ・フォルサ・ブラータ』というアルバムを発表した、ヴォーカル/キーボーディスト/コンポーザー。同アルバムにはドメニコがドラムで全曲に参加している。
SAIGENJI サイゲンジ
 東京のブラジル音楽シーン、ワールドミュージック・シーンを代表するアーティスト。ブラジル音楽好きだけではなく、ポップスしか聴かない音楽ファンにも訴えかける可能性を秘めている希有な存在。現在のところの最新作4th『アカラント』をカシンがプロデュースし、来日メンバーが録音に参加している。来日公演一日目の6月27日には、ゲストとして参加してくれる。『アカラント』の録音メンバーでの収録曲の再現なるか?サイゲンジ・ファンも必見の27日公演!!!
STEPHANE SANJUAN ステファン・サンジュアン
 フランス人のスーパー・パーカッショニスト。オルケストラ・インペリアルにも参加し、タルマ・ヂ・フレイタスの旦那でもある。「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」の準メンバーで、来日公演にはペドロ・サーとともに”+2”として来日してくれる。
TAKAKO MINEKAWA 嶺川貴子
 渋谷系〜トラットリアという流れの中でレトロ感のある作品を発表してきた女性アーティスト。『モレーノ+2/リミックス』で、「セルタゥン」をリミックスしている。カシン、嶺川の旦那さんのコーネリアスも含め、プライヴェートでも親交がある。
THALMA DE FREITAS タルマ・ヂ・フレイタス
 カシンのプロデュースでソロ・アルバム『タルマ・ヂ・フレイタス』を発表したオーケストラ・インペリアルのフロントの内の1人。女優でもある。同アルバムには、ウィルソン・ダス・ネーヴィスとベベートが参加し、『フューチャリズモ』にはボーナス・トラックとして収録のカシン作「トランクイーロ」も収録されている。
TOTONHO E OS CABRAトトーニョ&オス・カブラ
 トラマに所属するトトーニョ&オス・カブラ。ブラジル北西部のパライーバ州出身のトトーニョを中心としたグループ。2005年作の『サボタドール・ヂ・サテーリチ』をカシンがプロデュースしている。
SEAN O'HAGAN (THE HIGH LLAMAS) ショーン・オヘイガン(ハイラマズ)
 ビーチ・ボーイズやシカゴ音響派から影響を受けたレトロ・ポップを演奏するアイルランド出身のバンド、ハイラマズのフロントマン。トン・ゼーのリミックス・アルバムにも参加し、ブラジル音楽に近いところでおもしろい活動を続けている。イギリスであるトロピカリアを讃えるフェスティバルで、ショーン・オヘイガンとムタンチスのアレンジャーだったホドリゴ・ドゥプラをアレンジャーに迎え、カシンら現代ブラジルのバンドマンたちがトロピカリアを再現する。
VANESSA DA MATA ヴァネッサ・ダ・マタ
“ポスト・マリーザ・モンチ”という枕詞が板に付いている期待の女性MPBアーティスト。1st『ヴァネッサ・ダ・マタ』、2nd『エッサ・ボネカ・テン・マヌアル』ともに、彼らが一部の録音に参加している。
WILCO ウィルコ 
 アメリカ出身の”オルタナティヴ・カントリー”と言われるような音楽を演奏するグループ。近年、シカゴ音響派の面々と共演を重ね、音響面でも新鮮なおもしろみのある音楽を演奏しはじめた。ジム・オルークとのユニットのルース・ファーでも活躍するドラムのグレン・コッチェは、今回来日する5人「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」とアルバムを録音する予定があるという。
WILSON DAS NEVES ウィルソン・ダス・ネーヴィス
 マルセロD2をして、“完璧なリズムをたたき出す”と言わしめた伝説的ドラマー。声にも味があり、今はヴォーカリストとして活動することも多い。オルケストラ・インペリアルには、“長老”として、ゲスト・ヴォーカルとしての色が強いが参加している。