月刊ラティーナ16年12月号での謝罪と訂正

月刊ラティーナ16年12月号で、
訂正がありますので、こちらでもお知らせ致します。

54ページの書評欄で、関口義人さん著「トルコ音楽の700年」(DU BOOKS)の松山晋也さんによる書評が掲載されていますが、別の方(林 伸次さん)の著書であるかのような表記がされてしまいました。正しくは、関口義人さんの著作です。
ここで、訂正し、お詫び申し上げるとともに、
正しい情報で下記に掲載させていただきたいます。

また、
28ページのトニーニョ・オルタの写真につきましては、
コピーライト表記が正しくなく、
上原基章さんの撮影の写真で、「撮影:上原 基章」が正しいです。
訂正し、お詫び申し上げます。

■『トルコ音楽の700年』関口義人著

ジプシーを皮切りにベリーダンス、アラブ音楽、ユダヤ文化、更にはヒップホップと調査・研究対象を広げ、次々と新たな著書を送り出してきた関口義人さんが、遂にトルコに手をつけた。商社マンとして長年バルカン~東欧諸国と深く関わった経験を持つ彼にとってはトルコ音楽はいろんな意味で身近なものだったはずだが、自著を出し始めてから約15年(この間10冊以上を上梓)を経て、ようやくここに至った。それほど、トルコ音楽というのはやっかいなのだ。
なにしろトルコという国は、地理的にも歴史的にも文化的にも宗教的にも極めて複雑かつ多層的である。その音楽は、広大な版図を誇った帝国オスマン・トルコの血を受け継いでいるため、ペルシャやアラブ、ギリシャ、ユダヤ等の音楽とも深いつながりがあるし、加えて、クルド人やジプシー、その他たくさんの少数民族の伝統音楽もある。つまり、伝統音楽から現在のポップ・ミュージックまでトルコ音楽の全体図を概説するためには、膨大な知識と調査が必要になるのだ。私など、考えただけで戦意喪失してしまう。ブラジルやキューバ、インドネシアといった他の音楽大国と比べても、やっかいさという点ではトルコが一番ではなかろうか。
著者をこの難業に駆り立てたのは、10年ほど前、ジプシー音楽研究の一環でトルコを現地取材した経験だったという。「伝統の糸に引かれた歴史の音、かつての帝国の失われた栄華の陰で漏れ聞こえてくる溜息、宗教的な悦楽の響き、そして大衆的なのに切なく物悲しいメロディ」といったものを様々なトルコ音楽から感じ取り、その奥深さと広大さに魅せられていったのだった。
「オスマン帝国からイスタンブールの21世紀へ」なる副題どおり、この地で今日まで奏でられてきた音楽を700年以上前までさかのぼって概説した、体系的音楽通史である。宗教音楽や古典声楽やメフテル(軍楽)から、サナート、ハルク、オズギュン、アラベスク、ターキッシュ・ポップ、サイケからパンクやメタルまでを含むアナドル・ロック、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニク等々、更にはジプシーや少数民族の音楽、ベリーダンスまでと、その射程域は眩暈がするほど広い。それらを330ページほどに詰め込んだため、当然駆け足になってはいる。が、トルコ音楽のタテとヨコ、硬と軟、聖と俗、過去と未来のつながりを解読してくれた初の日本語書籍の誕生の意義は、とてつもなく大きいと思う。感謝したい。/文●松山晋也

▲DU BOOKS ¥2,500+税

スクリーンショット 2016-11-18 11.15.33