シコ・ブアルキに捧げるザンブージョ7作目が発売!

アントニオ・ザンブージョとシコ・ブアルキ

アントニオ・ザンブージョとシコ・ブアルキ

ネオファドと呼ばれたりもする、近年の新たなるファドを代表する男性歌手アントニオ・ザンブージョ。カエターノ・ヴェローゾから高く評価されるなど、その活躍はブラジルでも関心を集める。

07年のサード作『オウトロ・センティード』のブラジル盤リリースに際しては、イヴァン・リンス、ホベルタ・サー&トリオ・マデイラ・ブラジル、ゼー・ヘナートと共演した3曲を追加。ブラジルのアーティストたちとのコネクションを築いていき、14年作『ルア・ダ・エメンダ』でノエル・ホーザのナンバーを演じたりと、ブラジル音楽のレパートリーにも目を向けてきた。

その『ルア・ダ・エメンダ』に次ぐ、ザンブージョの7枚目のスタジオ録音盤となった16年作『アテ・ペンセイ・キ・フォシ・ミーニャ』は、以前から予告されていたとおり、シコ・ブアルキにトリビュートを捧げた内容となった。

収録されたナンバーは全16曲。「ジェニとツェッペリン号」「アテ・ペンセイ」「ジョアンとマリア」「タント・マール」、ジルベルト・ジルと共作した「カリシ」など、いずれもシコ・ブアルキ作で、67年のセカンド作に収められていた「泉のような瞳のモレーナ」から、11年作『シコ』収録の「ニナ」まで、幅広い年代の楽曲がセレクトされている。

プロデュースは、前作に続きザンブージョのバックを支えてきたコントラバス奏者のリカルド・クルースと、本作の音楽監督やアレンジも担うトリオ・マデイラ・ブラジルの7弦ギター奏者マルセロ・ゴンサルヴィス。ポルトガル・ギターのベルナルド・コウト、トランペットのジョアン・モレイラ、クラリネットのアナット・コーエン、ギターのセルヒオ・バルデオス、トリオ・マデイラ・ブラジルのゼー・パウロ・ベッカーとホナウド・ド・バンドリン、アコーディオンのマルセロ・カルディらが参加している。

ゲストにはシコ・ブアルキ本人が「ジョアナ・フランセーザ」でフィーチャーされる他、シコが68年のサード作でクリスチーナ・ブアルキとデュエットし、「セン・ファンタジア」にホベルタ・サー、「私の愛しい人」にネオファド系人気女性歌手カルミーニョが名を連ねている。

昨年の段階で、交流のあるヤマンドゥ・コスタとの録音のアイデアもあると語っているザンブージョ。シコ・ブアルキ曲集となった本作がブラジル音楽との繋がりに、さらなる深化をもたらすこととなるだろうか。

(ポルトガル●長嶺 修)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ11月号に掲載されています。
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