第27回ブラジル音楽大賞が開催 ゼリア・ドゥンカンが最多3部門受賞

最多3部門受賞のゼリア・ドゥンカン

最多3部門受賞のゼリア・ドゥンカン

ブラジル国内最大級の音楽祭典である第27回ブラジル音楽大賞(Prêmio da Música Brasileira)が、6月22日の夜にリオデジャネイロ市立劇場で開催された。

第27回目を迎える今年は、ゴンザギーニャをオマージュしたもので、ジルベルト・ジル、ジョアン・ボスコ、セウ・ジョルジ、ネイ・マトグロッソ、レニーニなど、ブラジルポピュラー音楽界の著名なアーティスト達が、ゴンザギーニャの作品を歌うライヴ・コンサートを行った。受賞式の模様は今年初めて、同時に有料テレビであるCanal Brasilと、このチャンネルのライヴ配信も行われた。

今回の音楽祭で最も多くの賞を受賞したのは、『世界が終わる前に(Antes Do Mundo Acabar)』のアルバムで、サンバ部門の最優秀楽曲賞、最優秀アルバム賞と最優秀女性歌手賞の3つの賞を獲得したゼリア・ドゥンカンだった。

さらにオーディエンスの心に焼きついたのは、ポップ・ロック・レゲエ・ヒップホップ・ファンク部門でアルバム『A Mulher do Fim do Mundo』で最優秀アルバム賞を受賞したブラジルの伝説的女性歌手エルザ・ソアレスが、困難な歩行ながらもステージに登場した瞬間、ブラジル音楽界に多大な貢献をしたエルザに、大きな拍手と歓声がわき起こったのだ。

そして、MPB部門において最優秀アルバム賞を獲得したのは、トロピカリア・ムーヴメントから40年以上を経て、ブラジル音楽界重鎮としてデビュー50周年記念のライヴ・アルバム『Dois Amigos, Um Século de Músico』でデュオの魅力をみせつけたMPB界の大御所アーティスト、カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジル。カエターノは、同時に最優秀男性歌手賞も受賞している。ちなみにカエターノの息子、トム・ヴェローゾは、DônicaバンドでMPB部門の最優秀グループ賞に輝き、父と共にファミリーで2重の勝利を手にした。

そして、ラパ発信のムーヴメントをリードしてきた中心人物としてサンバ界に輝かしい光を注いだ若手音楽家の一人、アルフレッド・デル=ペーニョの初リーダー作アルバム『サンバ・スージョ』が、サンバ部門で最優秀歌手賞を受賞した。ステージに満面の笑顔を浮かべ登場したアルフレッドの姿は、今回の音楽祭で最も印象的なシーンであったのではないか。颯爽とステージに駆け上ったこの新進気鋭の次世代を担うスターに、リオ中が大きな関心の注目を寄せたことに間違いない。

(リオデジャネイロ●MAKO)

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