メキシコ・クンビアの王道ロス・アンヘレス・アスレス

メキシコ・クンビア界の旗手、 ロス・アンヘレス・アスレス

メキシコ・クンビア界の旗手、
ロス・アンヘレス・アスレス

クンビアといえば南米コロンビア、コスタ地方を発祥とするバジェナートと並ぶ民俗音楽。バジェナートの拡大は限定的だが、使い勝手のよいクンビアはラテン諸国に広く広がった。メキシコはそのなかで最大のクンビア消費地だ。ペルーのイキトス地方発祥の個性豊かなクンビアを特例とすれば、コロンビア以外での量産地はまちがなくメキシコ。そして、メキシコから中米地峡諸国の北部地域に伝播した。

しかし、こうしたクンビアは日本に入ってこない。メキシコクンビア界にとって亜流でしかない(と思っているだろう)米国でスターとなった故セレーナの遺作ではじめてテクノ・クンビアというかたちで日本で紹介されるなどして話題となるぐらいだろう。

ロス・アンヘレス・アスレスはメキシコ・クンビア界を1980年代前半から牽引してきたグループ。取っ掛かりやすいクンビアということでメキシコには無数といってよいほどクンビアのユニットが次々と結成されてはの間にか消えてゆく。そうしたなかでメキシコ市の下町イツタパラパに住むメヒア・アバルテ兄弟を中心とした家族ユニットは今日まで30年間も大衆的支持を受けてきたな存在だ。

日本ではまったく無名だがメキシコでの人気ぶりを語る話題が届いた。いまやラテン・ポップス界の大スターとなったナタリア・ラフォルカデが参加したアルバム『ラ・クンビア・デ・インフィニト』が6月3日に発売されたからだ。ナタリアとロス・アンヘレスのギターリスト、ロドリゴとガブリエラが曲作りに知恵を絞った。ここにナタリアの言葉がある。

「わたしはいつも彼らのファンだった。わたしが作曲という行為に情熱を抱くようになったきっかけのひとつが彼らのステージに触れたこと。だから一緒に仕事するようになったのは、とても自然なこと」と語っている。

ロス・アンヘレス・アスレスたちの音楽は、彼らの主要音色であるアコーディオンの雄弁性に縁取られる。その殻を破るのはファンも彼ら自身もできない。ある意味、充足した音楽世界だ。ナタリアもここでは突出することなくおだかやにロス・アンヘレスの世界に浸る。これまで多くの人気歌手との共同作業をつづけてきたロス・アンヘレスだが、すべて自分たちの流儀で消化してきた。

(メキシコ●上野清士)

こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ7月号に掲載されています。

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