ブラジル音楽にとって複数の記念年、2018年!

V.A. 『Tropicália ou Panis et Circensis 』(1968)

V.A.
『Tropicália ou Panis et Circensis 』(1968)

今年、2018年はブラジル音楽にとって重要な年である。これから紹介することなくしては、現在のブラジル音楽はないと言ってもいいだろう。
◆ジャコー・ド・バンドリン生誕100周年
近代的なショーロを完成させたと言われる、ショーロ名門グループ、エポカ・ヂ・オウロの創立者であるジャコー・ド・バンドリン。ミュージシャンとして初めて演奏した楽器はバイオリンだったが、彼が青年だった頃、独学でバンドリンを勉強したこともあり、すぐにバンドリンを弾き始めた。1930年代にバンドで活動を開始し、1940年には、作曲家として活動していた。バンドリンを演奏するブラジルのスタイルが確立された1960年に、彼は作曲家・編曲家・ミュージシャンとして名誉ある人となった。このようにして、彼はブラジル音楽史に名を残したのだ。
◆トロピカリア50周年
1968年、カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルを中心に勃発した文化ムーヴメントである。自分たちの音楽を表現し、保守的だったブラジル音楽界に革命を起こしたのだ。彼らを中心にガル・コスタ、オス・ムタンチス、ヒタ・リー、トン・ゼー、ナラ・レオンなどのアーティストが集まって作られた、コンピレーションアルバムであり、歴史的な運動の表明アルバム『Tropicália ou Panis et Circensis』 がリリースされた。アルバムジャケットを見てもわかるように、ブラジルの音楽・詩の業界での重要人物がこのように一度に集まったことも歴史的な出来事である。トロピカリアは、ブラジル音楽に大きな影響を与えた。
◆ボサノヴァ誕生60周年
ブラジル音楽界で1958年は決して終わることのない年だと言われている。なぜなら、1958年はブラジル音楽界での最も重要な革命である、ボサノヴァが誕生した記念すべき年だからである。学生とアーティストが集中していたリオデジャネイロで、サンバとジャズのリズムが統合し、ボサノヴァが生まれた。ブラジルに留まることなく、世界中に知れ渡った。日本では、小野リサを筆頭にボサノヴァが広がり、人気となった。レストランやバーなどのBGMとして使われていることが多く、ボサノヴァを街で聴かない日はないほどである。世界的に有名な映画やドラマの配信サイトNetflixでは、60年代のリオデジャネイロを舞台にボサノヴァの文化革命とボサノヴァがどのようにして生まれたのかという内容のシリーズドラマが配信予定であり、今年の初旬に撮影が始まるようだ。
ブラジルではもちろん、日本でも記念イベントが多く行われるだろう。これからのブラジル音楽のさらなる発展に期待する。
(ブラジル●編集部)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ2018年2月号に掲載されています。
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