MPBの女王、クララ・ヌネスのドキュメンタリー映画が公開

クララ・ヌネス

クララ・ヌネス

今もなお語り継がれる、ブラジル音楽史上最も偉大な女性歌手、Clara Nunes(クララ・ヌネス)のドキュメンタリー映画『Clara Esterela』(輝かしいスター、クララ)が、音楽・映画のフェスティバル“MIMO Festival 2017”で初公開された。その後も、リオ映画フェスティバル“Festival do Rio2017”で公開され、11月3日にもリオ州の田舎町コンセルヴァトリアで行われた“Festival CineMúsica 2017”で公開され話題を呼んだ。
それもそのはず、主役となる歌手クララ・ヌネス自身が、全編のナレーションをするという希にないドキュメンタリー映画なのだ。映画で使用されているのは、未公開のオリジナル音源、そして映像と数々のインタビューなどで、まるでクララがリアルタイムで、自ら人生を語っているかのような印象がある。
映画製作の企画は1998年、約20年前に始まったという。研究に研究を重ね、ミナスジェライス州が誇るクララの人生に焦点を当てたヒューマンドキュメンタリー映画は、クララの家族やクララの夫であった詩人パウロ・セザール・ピニェイロ、元クララの専属カメラマンらに様々なコレクションを仰ぎ、貴重な数々の資料を基に、長い年月をかけてクララの歌手としての生き様を描いた作品なのだ。クララの音楽に対する愛情、ブラジル国民に注がれる強く前向きな感情慈しみ、そして社会に対するメッセージが、クララの声と姿を通し、真っ直ぐにこの長編映画に映し出される。
ブラジルの女性歌手として初めて50万枚を超えるアルバムの売り上げを記録し、70年代にブラジル音楽界に大きな人気を博しながら深く美しく力強い曲を数多く歌い続け、1983年4月2日に40歳という若さでこの世を去り、多くの人々に惜しまれたクララ・ヌネス。彼女の死から早34年の月日が経ち、私を含め、多くのクララファン達は彼女のステージ、生の姿を肉眼で見たことがない。この映画はそんな彼女に魅了される多くのブラジル音楽ファン、クララファンには見逃せない、貴重なドキュメンタリー映画なのだ。
クララの専属カメラマンであったウィルトン・モンテネグロがこの映画に提供した写真資料は、彼のクララに対する多大なる尊敬の念と友情が注がれているものばかり。メディアから、そして世間から“サンバ歌手”と言われるのを好まなかったクララが、映画の中で自ら「私は、ブラジルが誇るブラジルのポピュラー音楽を歌う歌手なのです。私は、私が愛する国、ブラジルの為にそして国民のために歌い続けているのです。」と明瞭な声で語っていたシーンが今も色濃く目に焼き付いている。
ブラジルポピュラー音楽の女王、クララ・ヌネスよ、永遠に!
(リオデジャネイロ●MAKO)


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