ペルー音楽を世界に発信する、ケケサナの音楽プロジェクト

「Sonidos Vivos(生きた音楽)」今回は、7カ国のミュージシャンが共演。 © Oscar Chambi

「Sonidos Vivos(生きた音楽)」今回は、7カ国のミュージシャンが共演。
© Oscar Chambi

© Oscar Chambi

© Oscar Chambi

尺八奏者 小濵明人 © Oscar Chambi

尺八奏者 小濵明人
© Oscar Chambi

フォルクローレを中心とする伝統的なペルー音楽をベースに、郷愁感を漂わせながらも軽快で聴きやすい独自のサウンドを創り出す音楽家ルーチョ・ケケサナは、ペルーで今一番活動的なミュージシャンと言っても過言でないだろう。そして、近年、ペルー音楽の文化大使的な役割を担っている彼の代表的なプロジェクトのひとつ「Sonidos Vivos(生きた音楽)」が、今年活動10周年を迎えた。
プロジェクトのきっかけは、ユネスコのアッシュバーグ芸術奨学金制度。兼ねてより、「みんなにペルー音楽を好きになって欲しい。音楽を通じてペルーという国にもっと関心を持ってもらいたい」という思いを抱いていたというケケサナは、この奨学金制度を利用して2006年にカナダのモントリオールに渡った。最初は言葉の壁を目の当たりにしたというが、多文化国家のカナダだからこそ様々な国籍のミュージシャンに出会い、さらに、短期間ながら彼らにケーナやサンポーニャ、チャランゴ、カホンといった伝統楽器やペルーの独特なリズムを指導し、最終的には一緒にパフォーマンスを行った。これが予想をはるかに超える大きな反響を呼んだことから、結果としてプロジェクトのバンドが生まれたという訳だ。
そして、先日、その活動10周年を記念するコンサートが市内の国立大劇場で開催された。今回の公演では、ベトナムのヒュー・バック・クアッチ(ダンバウ)、トルコのイスマイル・フェンシオグル(ウード)、ベネズエラのレネ・オレア(フルート、クアトロ)、コロンビアのハイロ・ゴメス(ベース)、カナダのエリック・ブレトン(パーカッション)、フランソア・タイユフェール(パーカッション)といった結成時からのメンバーに、一昨年から加わった日本の尺八奏者である小濵明人も参加し、3日間にわたって連日1000人を超す観客を魅了した。
全公演終了後に「ユニークなプロジェクト」とその印象を話してくれた小濵。セットリストの全16曲がケケサナのオリジナルで、「Sonidos Vivos」のバンド用に特別にアレンジされたものだったと言う。ただ、それらの多くがフォルクローレや、アフロペルー音楽を起源とするランドーやサーヤなどの独特なリズムをベースにしているため「難しい音楽」だとも。しかし、「メンバーのレベルが相当高いから実現できるのだと感じる」とバンドについても語ってくれた。
各国の音楽家を通じて、ペルー音楽を世界に発信する同プロジェクトの活動に引き続き注目したい。
(リマ●川又千加子)


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