文化遺産となったチャブーカに捧げる音楽フェスティバル

ニッケの花を熱唱するエバ・アイジョンとルビ・パロミノ、 レヒーナ・アルコベル、アンドレス・ドゥルデ(左から)

ニッケの花を熱唱するエバ・アイジョンとルビ・パロミノ、
レヒーナ・アルコベル、アンドレス・ドゥルデ(左から)© Oscar Chambi

 

セシリア・バラサ © Oscar Chambi

セシリア・バラサ
© Oscar Chambi

 

チャブーカの娘のテレサ・フレル © Oscar Chambi

チャブーカの娘のテレサ・フレル
© Oscar Chambi

世界中の様々なジャンルの音楽家たちが今もなお歌い続けている栗オーや音楽の代表的な女性歌手チャブーカ・グランダの作品が、今年1月、ペルーの文化遺産として正式に登録された。
昨年12月には、ルベン・ブラデスやホアキン・サビーナ、ペドロ・ゲーラ、アナ・ベレン、パシオン・ベガ、ウルグアイのホルヘ・ドレクスレル、アルゼンチンのフアン・カルロス・バグリエット、リディア・バロッソ、ケビン・ヨハンセン、ポルトガルのドゥルス・ポンテス、ブラジルのイバン・リンスなど、そうそうたるメンバーが参加したチャブーカのトリビュート・アルバム『A Chabuca』が発表されたばかりであるが、今年の文化遺産の発表に伴い、国内のアーティストたちが音楽フェスティバルを企画した。当初は、3月末に開催予定だったが、ペルー北部を中心に襲った大規模な水害により、6月3日までその日程が延期されていた。
当日、会場には文化遺産となった作品を堪能しようと大勢のクリオーヤ音楽ファンが集結。娘のテレサ・フレルをステージに迎えてのセレモニーの後、クリオーヤ歌手としての道を歩むきっかけを作ってくれたのがチャブーカだったというセシリア・バラサの甘い歌声でスタートした。 続いて、チャブーカのギタリストを15年務めたことで知られているルーチョ・ゴンサレスは、一緒にアルゼンチン公演に行った際のエピソードを語り、アンデス音楽歌手のアマンダ・ポルタレスが「ジャンルは異なるが心から尊敬している」というチャブーカの歌を初めてステージで熱唱すると、観客から大きな拍手が巻き起こった。
さらに、様々なペルー音楽とロックをフュージョンするラ・サリータによってクンビア&ロック調の曲にアレンジされた〝ホセ・アントニオ〟では、若者だけでなく往年のクリオーヤ音楽ファンたちも手拍子をとって満足そうに聞いている姿があちこちで見られた。
一方、トリを務めたエバ・アイジョンは、クリオーヤ音楽界の女王として圧倒的な存在感を感じさせるステージでチャブーカの代表曲を歌い上げ、ロックグループのフラヒルのボーカルであるアンドレス・ドゥルデと共演した〝フィナ・エスタンパ〟では、観衆も一緒に大合唱となった。
なお、来年3月には、第2回目が予定されているのだが、その目玉企画として、チャブーカの曲のアレンジコンクールを開催するという。より多くの世代に彼女の作品が歌い続けられていくようにとジャンルを超えた参加が呼びかけられている。

(リマ●川又 千加子)


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