アフロカリブや、クンビア、バジェナートといった音楽の宝庫コロンビアから、ポンチョを纏った4人の若者たちから成る異色グループ、ロス・ローリング・ルアナスが登場した。バンド名は、「Rolo=ボゴタ出身者」と、「Ruana=コロンビア中部アンデス高原の農民たちが纏う羊毛のポンチョ」、そして、ロック・バンド、ローリング・ストーンズをもじっている。彼らの音楽は、1970年代に、コロンビアのアンデス高原部の農村音楽と、ポップを融合したグループ、ホルヘ・ベローサ・イ・ロス・カランゲロス・デ・ラーキラから生まれたジャンル=カランガをベースにしながらも、インディー・ロックのような現代感覚に満ち溢れている。それも、レキント、グアチャルカ(ギロ)、ギター、ティプレ(12弦ギター)といった、コロンビア伝統楽器による卓越したアコースティック演奏で表現しているのが凄い。超絶の指さばきと、4人のシンクロ具合に思わず聞き惚れる。
ロス・ローリング・ルアナスは、コロンビア中部のクンディボヤセンセ高原から、首都ボゴタへ移住した人たちを親に持つメンバーによって、2014年に結成された。
2015年に、ローリング・ストーンズや、ビートルズ、レニー・クラヴィッツのカヴァーなどを、カランガ調に演奏する映像をYouTube上にアップしたところ、大反響を呼び、2017年3月には、デビュー・アルバム『La balada de carranguero(カランガのバラード)』をリリースした。アルバム発売後の国内ツアーではソールドアウトとなる会場もあったほどで、BBCスペイン語版や、ローリング・ストーン誌などの多くのメディアにも取り上げられ、ますます、飛躍しそうな勢いだ。同アルバムには、クイーン、システム・オブ・ア・ダウンのカヴァーや、コロンビア高原の大地や伝承をテーマにしたオリジナルを含む10曲を収録。コロンビアのミクスチャー・ロックの代表バンド、ベランディア・イ・ラ・ティグラのリーダー、エドゥアルド・ベランディアと、マヌーシュ・スイング系ポップバンド、ムッシュ・ペリネのヴォーカル、カタリーナ・ガルシアがゲスト参加している。
一般には、トロピカル音楽のイメージが強いコロンビアから現れた、肌寒い高原地帯の農村音楽を届ける、ロス・ローリング・ルアナスは、同国の多様性を表現する。今後が楽しみなグループだ。
(コロンビア●長屋美保)
こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ6月号に掲載されています。
こちらから購入ができます。