ブルーノ・ペルナーダスとは何者か?

ブルーノ・ペルナーダス。マルチ・インストゥルメンタリスト、作曲家、編曲家として、インディーロック、ジャズ、演劇や映画など様々なジャンルで主に裏方として活動してきた彼が、昨年後半からソロ名義での活動を積極的に展開している。

1980年、リスボン出身のペルナーダスは13歳でギターを始め、リスボン高等音楽院でジャズを専攻。同時期にリスボンの名門ジャズクラブ、ホット・クルービ・デ・ポルトガルでも修行を重ね、24歳の時に既に音楽学校で教鞭を執っていたという突出した才能の持ち主だ。

彼の音楽の特徴は、ジャズを骨格にオルタナティヴロックやフォーク、トロピカリズモやサイケデリック、スペースエイジ・ポップなど幅広い音楽的素養で肉付けされたジャンルレスかつボーダーレスな楽曲構成だ。以前、Observador誌のインタビューでライフタイムベストアルバム五枚は何かと訊ねられ、「五枚どころか五百枚のライフタイムベストアルバムのリストだって作れる」と豪語していたが、カテゴリーを問わず古今東西の音楽を吸収していく彼のいち音楽ファンとしての姿勢が、彼の楽曲の巧みな職人的構成に反映されているといえるだろう。(ちなみに彼が「別の日に同じ質問をされたら別の五枚を選ぶだろうね」と前置きして選んだのは、トム・ウェイツ、ピクシーズ、ウェス・モンゴメリー、ポール・サイモン、レス・バクスターの作品)

となると、実際のライヴを見てみたいと思うのが音楽ファンの心情。自身のプロジェクト以外にも、他のミュージシャンのライヴのサポートメンバーとしてパフォーマンスを支えるペルナーダスの演奏力や表現力は折り紙付きなだけに、そのソロ名義でのパフォーマンスとなると更に期待は高まる。昨年9月の二作品同時発表以降、ブルーノ・ペルナーダス名義での公演はほぼ全て過去ソロ三作品の内いずれかをテーマとし、ほぼ録音メンバーでライヴを行う形式を採用しており、『How Can Be Joyful In A World Full Of Knowledge(2014)』と『Those Who Throw Objects At The Crocodiles Will Be Asked Retrieve Them(2016)』は9〜12人編成、『Worst Summer Ever(2016)』は4〜6人編成のそれぞれ別のミュージシャン達によって構成されるバンドによって演奏される。つまり、彼の全ての楽曲を網羅するパフォーマンスを一度に観ることは難しいようだ。これはポルトガルまで観に来るしかない!?

(リスボン●山口詩織)


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