「1817年革命」200周年記念公式イベントから歴史コミック本まで

『革命のフィアンセ』のコミック版がトニー・シラスによって描かれていた。©Thony Silas/Divulgação

『革命のフィアンセ』のコミック版がトニー・シラスによって描かれていた。©Thony Silas/Divulgação

カーニバルの余韻が冷めやらぬ3月6日、他の州では全く忘れ去られている「1817年革命」を静かに偲ぶ式典がペルナンブーコ州知事パウロ・カマラによって執り行われた。国旗掲揚、州旗掲揚、記念パレードといったセレモニーが行われたが、これから様々な関連イベントや出版物刊行などが今年一杯予定されている。今年はロシア革命100周年の年であるが、それよりもさらに100年前に起きた革命であるだけに、ペルナンブーコ住民には、お国自慢の輝かしい「自由民権革命」であるのだ。その200周年記念となれば、州政府や州議会、レシーフェ市議会はもちろんのこと、ペルナンブーコ文学アカデミーといった文化団体も積極的に関与しており、地元紙ディアリオ・ヂ・ペルナンブーコやジョルナル・ド・コメルシオは特集記事を連日掲載している。

この機会に、大急ぎで歴史の復習をしてみよう。

レシーフェでは「ペルナンブーコ革命」とも呼ばれている「1817年革命」とは、ナポレオンに追われてリオに移転したポルトガル王室への反発にフランス革命思想が結びつき、軍人、農園主、商人、職人、聖職者など広汎な社会層が参加した運動であった。3月6日、反乱開始、3月8日、レシーフェに「国民政府」を樹立し、共和制を規定する「基本法」を発布、こうしてこの革命運動はセルタゥンを含む東北伯全体に広がっていく。慌てた中央政府はリオとバイーアから軍隊を送り込むが、反乱軍を鎮圧したのは5月19日のことであった。75日間しか続かなかったが、啓蒙主義に基づく、ポルトガルからの独立革命運動であった。

この革命運動の痕跡はレシーフェ市内のあちこちに残っており、反乱指導者たち100名以上が拘置されていたのは、現在市立博物館となっているシンコポンタス要塞であり、蜂起が始まった砲兵隊兵舎の跡は現在、「古本屋広場」だ。

この「1817年革命」を祝賀するムードを一層盛り上げているのが、同革命を舞台とする歴史小説『革命のフィアンセ』(著者はパウロ・ヂ・オリヴェイラ)のコミック版『A Noiva』である。作者は、トニー・シラス、ペルナンブーコ出身の28歳。米国コミックの世界では知られたイラストレーター・漫画家であり、マーベルコミックのアメイジング・スパイダーが代表作だ。

この歴史コミックは、1817年革命のリーダーの一人ドミンゴス・マルティンスの恋物語を自由に展開させたもので、作者いわく「力作です」。発売は4月の予定だ。

(レシーフェ●岸和田 仁)


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