リオを代表するブラジルのカーニバルといえば、そのリズムを知らなくとも、羽飾りで彩ったセクシーなダンサーのことを思い浮かべる人は多いだろう。
今年、動物愛護をテーマにパレードしたサンパウロのエスコーラ・ヂ・サンバ、アギア・ヂ・オウロは、アレゴリア(山車)やファンタジア(衣装)に鳥の羽を全く使用しないパレードを行って話題となった。スペシャルリーグで羽飾りを使わないのは史上初の試みだったそうだ。
毎年いったいどれだけの量の鳥の羽がブラジルのカーニバルで消費されるかには想像が及ばないが、多くはブラジル、南アフリカ、インド、中国で飼育されるキジ、ガン、クジャク、ダチョウが出どころだそうだ。羽は器具によって根こそぎむしり取られるそうで、それらの鳥に出血や痛みを与えるのだそうだ。
パレードでの羽の不使用は、オマージュとしてエスコーラが、アレゴリアへの搭乗に招待した女優兼テレビ番組司会者のルイーザ・メルの交換条件だった。
メルは、自らの名を冠した動物愛護のインスティテュート(ilm.org.br/)を運営する活動家としても知られる。路上で不健康に暮らす動物の手当や保護、里親探し、あるいは自然や動物の保護を社会に啓蒙する運動を活発に行っている。
メルの参加は、羽の不使用に加えて、当初、犬がテーマだったパレードを動物全般の愛護へと変えた。変更はカルナヴァレスコ(衣装プロデューサー)がメルの意向に賛同したためだった。
アレゴリアから衣装までの全般をデザインするカルナヴァレスコは、鳥の羽に代えて使用済みペットボトルを多用した。ファンタジアの出来は、鳥の羽を使ったものに引けを取らない絢爛豪華さを演出した。
さて、気になるパレードの採点結果だが、なんと14チーム中13位という残念な結果に終わり、下部リーグへの降格が決まってしまった。鳥の羽を使わない衣装は、審査員の目には見栄えがしなかったのだろうか?
来年スペシャルリーグに返り咲くために、せっかく提唱した動物への愛を撤回して、鳥の羽を再び使うようにならないといいのだが……。
(サンパウロ●仁尾帯刀)
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