MPB情報発信源のラジオ局 突然の閉局で驚きと悲しみの声

 1月31日(火)の深夜、リオデジャネイロのブラジルポピュラーミュージック(MPB)ファンがこよなく愛したラジオ番組音楽“MPB-FM、FM90.3MHz”が突然廃局し、リスナーに衝撃を与え姿を消してしまった。その驚きは、リスナーだけではなく、局のスタッフやアーティスト達の耳に一気に巻い込んだ。

番組制作スタッフに対して、廃局について事前に伝えられていなかったという。終局日となった日の午後、全スタッフ約40人のPCのメールやインターネットが突如アクセスできなくなり、個々に明かされた解雇の通達は、大きなショッキングを与えた。大量解雇をしたという事実だけにとどまらず、MPBファンが永遠に楽しめる文化の存続の一つを失ってしまう結果を引き起こしたのだ。

このショッキングな出来事は31日(火)の夜、勤務後に自宅に向かう道中、街中の愛聴者達の耳にも吹き込まれ、一気に口から耳へ、耳から口へと伝達されたのだ。そしてSNSではラジオに日常茶飯事、頻繁に出演していた人気アーティスト達が集まり、「MPB-FMのラジオがなくなるということは、ブラジル音楽シーンの扉を閉じることと同じだ。」と主張した。終局を知らされたカエターノ・ヴェローゾとマルチナーリアが力強く肩を組んで「許されるべき出来事ではない!」と悲しみを伝えるメッセージ、アミルトン・ヂ・オランダが「ブラジル音楽が、そして我々ミュージシャンも、これほどまでに貴重で重要なブラジルポピュラーミュージックを代表する番組の終わりに悲嘆している。」など、ネット上で悲しみの声を発した。

事実、MPBを愛するリスナー達は、このFM90.3MHzを通して新しい曲と出会い、この番組を通して新しいアーティストを知り、ファンとなり、アーティストとの接点を深めてきた。そして過去には番組内でリスナーを招待し、抽選で入場者を集めて人気アーティストの生ライブを楽しむ『Palco MPB』という貴重な録音ライブ中継も行っていたのだ。番組のキャッチフレーズは「Tudo mundo ama! =皆んなが愛する!」というものだっただけに、その愛するものが突如姿を消してしまうショッキングなニュースは、MPBファンを揺るがした。

今やFMラジオ信号受信をチューナーを使ってラジオを聴く人は少なくなったものの、インターネット上の配信によってこよなく愛し試聴していたリスナーは、オフィスや自宅で仕事をしながら、そして家事をしながらどのラジオ音楽番組を楽しめば良いのであろうか?

(リオデジャネイロ●MAKO)


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