第1回ラ.ノーチェ・デ・ラ・ ムシカが開催

プエンテ・アルシーナの特設ステージで行われたマリアノ・モーレスへのオマージュ・コンサート

プエンテ・アルシーナの特設ステージで行われたマリアノ・モーレスへのオマージュ・コンサート

ブエノスアイレス市文化省はラ・ノーチェ・デ・ロス・ムセオス(ミュージアム・ナイト)の成功を受けて、毎月異なる文化イベントの夜を開催することを決定。11月19日に初のミュージック・ナイトが開催された。

市内20カ所以上に設けられたステージでは、夕暮れ6時から朝の3時に至るまで、千人以上のミュージシャンが市民に音楽の夜を届けた。

主な4会場として、パレルモ地区にあるバラ園ではロックの特別ステージが出現。アルゼンチンのロックシーンを牽引するエア・バッグを始め、ロス・グアロス、アニマル、バルコ等が会場を沸かせた。サーカス場に設けられたステージには、ボックス・ポップ、ロス・ボンニートス等のクンビアとポップスのミュージシャンが集い、オットー・ブンヘがDJを務めた。また、パルケ・センテナリオの野外円形劇場では交響楽団による国内外の音楽の演奏、2010年に亡くなった国民的歌手サンドロ・デ・アメリカへのオマージュが捧げられ、真夜中を過ぎた頃にラ・ボンバ・ティエンポのショーで締めくくられた。最後に、プエンテ・アルシーナの特設ステージでは昨年他界したタンゴ界の巨匠マリアーノ・モーレスへのトリビュートとしてネストール・マルコーニ氏による指揮のもとオルケスタ・デ・ポロ・バンドネオンとトレス・デ・フェブレイロが演奏、氏の孫であるガブリエル・モレーノは「アディオス・パンパ・ミーア」を歌い、氏の功績に想いを馳せる時間となった。

他にも、市の文化スペースは言うまでもなく、現代美術館やカフェ・トルトーニ、中華街といった市内の至るところでジャズやオペラ、アジアの音楽等ジャンルを問わず、また演奏に限らず音響技術の進歩を紹介するオーディオビジュアルの上映や音楽に関する展示のガイド付きツアー等々、年々好評を博するミュージアム・ナイト以上の素晴らしく充実したプログラムが提供された。

常に街のどこかで市の運営による豪華なアーティストによる無料コンサートには事欠かないブエノスアイレス。ミュージアム・ナイトの夜同様に、この日は夜遅くまで、各所で開催されるプログラムに胸を弾ませながら会場に足を運ぶ市民が街にあふれ、市内のカフェやレストランまで賑わいを見せた。日中は政府に対するデモが日を追う毎に増し、騒音が絶えない昨今。音楽家達に文化的環境を提供し、市民の音楽に対する関心を刺激し促進するというこのイベントがこの街の未来を明るく豊かにすることを願ってやまない。

(アルゼンチン●折田かおり)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ1月号に掲載されています。
こちらから購入ができます。