録音年 2016年発売年 アルゼンチン発売録音 INDEPENDIENTE
曲目
【Latin Rock 1】 1. Doce 2. Rikisima 3. No Se Va 4. Latino 5. Rita (Versión 2) 6. El Tren 7. Todavia Quedan Cosas【Latin Rock 2 (Bonus)】 1. No Es Tarde 2. Melancolico 3. A Los Desaparecidos (Versión 2) 4. Amanece (Versión 2) 5. Esta Tarde Vi Llover 6. Rikisima (Versión 2) 7. Rita (Versión Acústica)
今年のラテンビート映画フェスで公開された「旅するギター」にも出演、アルゼンチンを代表する超絶技巧ギタリストであるルイス・サリーナスが6年ぶりの大作「エル・トレン」を一挙リリース。驚くべきはそのボリューム、圧巻の3部作計5枚(1枚+2枚組+2枚組)。実は前作、前々作も3部作という・・・とにかく多才なギタリストなのだ。CD1では本3部作全体タイトルであるブギウギ調の自作曲に始まり、「ポル・ウナ・カベサ」他タンゴの名曲、ラミレス作のフォルクローレなどアルゼンチンの作品、隣国ブラジルからはジョビン&ヴィニシウスのボサノヴァ6、J.ジルベルトもカバーした13ほか3曲でヴォイスも披露、息子へ捧げた14、往年のジャズ名曲を卓越したギター・テクニックでさらりと聞かせる心地よい選曲。CD2は「ソロ・サリーナス(サリーナスだけ)」=レコーディング時16歳!息子フアンとの親子共演ドゥオ・アルバム、これが非常に良い!優れたコンポーザーでもある父の自作中心2枚組はゴンチチを彷彿させる1-3から長年の朋友ディディ・グットマンの2-6など緩急つけた名演奏で一気に聴かせる。トニーニョ・オルタの美メロ 5の世界観は秀逸。若きフアンの大人びた豊かな表現力は圧倒的で、ぜひライブDVDで見てみたい。CD3は「ラテン・ロック」と題するも内容的にはスピネッタ・バンド出身の朋友メンバーがサポート、ロックの精神性を表現したアルバムといえるだろう。バルセロナのジャズ・シーンを牽引してきたウルグアイ人ピアニストのJ.レイノソを初め、ドス・オリエンタレス帯同で来日ツアー経験もあるM.イバルブル(ds,perc.)、旧知の友であるチリ人C.ガルベス(b)とP.ポルテーニョ(perc)の二人と、ここにも息子フアンがゲスト参加。自作中心だがメキシコ人作曲家A.マンサネーロの2-5もあり次から次へ聴きたくなる3部作だ。
月刊ラティーナ2016年12月号掲載
(谷本雅世)