録音年 1938-1942年 アルゼンチン発売録音 BUIENOS AIRES TANGO CLUB
曲目
1. La Racha 2. Telón 3. La Esquina 4. Din Don 5. Negra María 6. Color De Rosa 7. Malena 8. Tortazos 9. Al Compás De Un Tango 10. Ribereña 11. El Naranjerito 12. Un Tango Guapo 13. Nunca Supe Porqué 14. Mañana Zarpa Un Barco 15. Soy Muchacho De La Guardia 16. Milonga En Rojo 17. No Te Apueres Carablanca 18. Sorbos Amargos 20. Canción De Rango
ピアノ奏者デマーレ(1906-74)は、1926年からフランシスコ・カナロの代理として(同楽団の実質的な音楽監督だったピアニスト、リカルディはデマーレのいとこ)、ほどなく2歌手と共同でタンゴ楽団をひきいて、パリなどに定住して活動した(録音もある)。約10年後に帰国し、バンドネオン奏者だったが一流の映画監督になった兄の作品に音楽を書いたりした後、オルケスタ・ティピカを結成。その最初の録音から年代順に追っていこうという企画がこれだ。楽団は1940年代の新しいタンゴ表現法、洗練されてリズムが安定した、オルケスタ・ティピカの最高級のひびき――たとえばトロイロ楽団のような――をもち、ダンスのための演奏だけど、劇的な表情ゆたかで聴く楽しみもたっぷり。タンゴ歌曲の最高級の作曲家である彼の自作や、同時代の新鮮なタンゴやミロンガ、そして時に古典曲を若々しく……いい曲ばかりですよ。
月刊ラティーナ2016年12月号掲載
(高場将美)