録音年 2015年 Independente
ミナス感満載。海派より山派のリスナー向けと言ってもいいかもしれない
曲目
1. Certas Cancaes 2. Fazenda 3. Quando o Amor Acontece 4. Nos Dois 5. Beijo Partido 6. Clube da Esquina 7. Nascente 8. No Rancho Fundo 9. Cruzada 10. Agnus Sei 11. Clube da Esquina II 12. Jardim da Fantasia 13. O Trem Ta Feio 14. Um Carro de Bois 15. O medo de amar e o medo de ser livre 16. Laranja Madura 17. Dois rios
ミナス出身の女性シンガー、グラウシア・ナセール。本作は一聴して「あ、ミナス」と口をついて出そうな透明感と浮遊感を併せ持つフォーキーなアルバムで、ロックサウンドの色合いが濃かった旧作に比べ、格段にアコースティックな路線へとシフトしており、これは日本のMPBファンに受け入れられる大きな要素となりうるだろう。それと共に本人のヴォーカルもよりゆったりとした歌い方に変化している。そしてミルトン・ナシメントにロー・ボルジェス、ジョアン・ボスコらミナスの重鎮たちの楽曲カヴァー群がたまらない(クルビ・ダ・エスキーナのno.1と2を同時に収録した作品などそうそうお目にかかれまい)。それにしてもミナス出身のアーティストが創り出す音の標高差はどうだろう。明らかにリオにサンパウロ、あるいはバイーアや北東部とは一線を画した特徴的な音作りは、海派より山派のリスナー向けと言ってもいいかもしれない。
月刊ラティーナ2016年3月号掲載
(上沖央明)