録音年 2013年 EURO
40年代のレパートリーを中心に
曲目
●曲目 1. デセオ(願い) 2. バリオ・デ・タンゴ(タンゴの街) 3. トゥ、エル・シエロ・イ・トゥ(あなた、空とあなた) 4. フント・ア・トゥ・コラソン(あなたの心と) 5. クアンド・トゥ・ノ・エスタス(あなたがいない時) 6. ウノ 7. カンタンド・ア・ガルデル(ガルデルに歌う) 8. スール 9. デセンクエントロ(破局) 10. カンドンベ・パラ・ガルデル(ガルデルのためのカンドンベ)●演奏:カルロス・ロッシ(vo)、フリアン・エルミーダ(g、他)、マウリシオ・マルチェリ(vn)、フアン・ミゲンス(cb)、マティアス・フェイジン(p)、レオネル・ガッソ(bn)●ゲスト:ルイス・フィリペリ、ミリアン・ガンダリージャス、カルラ・ロッシ、マレーナ・ロッシ
カルロス・ロッシは1943年生まれのベテラン歌手。1970年に第1回民音タンゴ・シリーズでホセ・バッソ楽団と、1997年と2000年にはオマール・バレンテ楽団と来日しているので、懐しく思い出される方も多いかもしれない。彼の最新作となる本アルバムは、ちょうど彼が生まれた頃にあたる1940年代のタンゴが中心に収録されている。年齢を感じさせない若々しく柔らかい歌声で、詩の内容を重視した円熟の表現を聴かせてくれる。特に、 2. の終盤で聴かれるような、声量を抑えてささやくように歌う時に漂う情感は、無二の存在と言えるだろう。伴奏はギタリストのフリアン・エルミーダの五重奏。奇をてらうことなくしっかりと歌に寄り添った演奏は素晴らしい。途中までフリアンのギターのみの伴奏で歌われる 7. など、歌も伴奏も見事である。 5. はルイス・フィリペリをゲストに迎えての二重唱、 10. は娘?のマレーナ、カルラとの共演が微笑ましい。
月刊ラティーナ2014年5月号掲載
(吉村俊司)