SESC SÃO PAULO
弦楽器の魅力を余すところなく伝えるドキュメンタリー
曲目
監督:マルセロ・マシャド演奏:ルイス・オターヴィオ・サントス、ベチーナ・ステグマン、マルセロ・ジャフェー、ピーター・パス、ヂモス・ゴウダフリス、ペドロ・ガデラ、カメラタ・フクダ※112ページ解説ブックレット付き
ブラジルが誇る文化芸術振興団体SESC(セスキ)製作による、交響楽に欠かさざる弦楽器であるコントラバス、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンそれぞれに(それも実に公平に!)スポットを当て、その魅力を余すところなく伝えるドキュメンタリーフィルム。であるからして内容はほぼクラシック音楽(現代音楽含む)で占められているわけだが、ブラジルの演奏家たちによる、いかにも南米らしい懐の深さを感じさせるパフォーマンスが素晴らしい。まるで聴く者の身体全体で音を受け止め、ハーモニーを味わうような感覚を楽しめる。英語字幕も付いているので、語学に達者な方ならば演奏家たちのインタビューのくだりも楽しめることだろう。そして何より、これらの楽器をこよなく愛する人にとっては宝物のような作品となるに違いない。それにしてもこのDVDシリーズで紹介される「楽器」に対する愛情深い編集ぶりには胸が震えてしまう。
月刊ラティーナ2015年9月号掲載
(上沖央明)