録音年 2014年 アルゼンチン発売録音 WARNER
ラダ様ワールド全快!
曲目
【Disc 1: Tango & Milonga】 1. Anclao en París 2. Café La Humedad 3. Candombe para Gardel 4. Cuesta abajo 5. Dos gardenias 6. Ay 7. La casita de mis viejos 8. La puñalada 9. La trampera 10. Milonga para una niña 11. Patrimonio mundial de la humanidad 12. Soy de cuareim 13. Tomo y obligo 【Disc 2: Candombe】 1. Adiós a la rama 2. Apreparate 3. Bo va tomaruna 4. Candombe pal Fatto 5. Candombe y Rezo 6. Candomblues 7. Candomsamba 8. Cosas sueltas 9. Juana con Arturo 10. La yapla mata 11. Pequeña flor 12. Solo he de quedar 13. Upa Nega
【ディスク1】ウルグアイと言えば清貧で知られるムヒカ大統領が話題だが、ウルグアイ音楽の揺るぎなきスターと言えばこの人、黒い魔術師ルベン・ラダ。2014年発表の「タンゴ、ミロンガ、カンドンベ」は二枚組アルバム、相変わらずの精力的な仕事ぶり。このディスク1はタンゴとミロンガ集。一聴して「ああいい声だなあ」と思う。クルーナーで肉感的な低音ボイスが意外なほどタンゴに合っている。この人が歌うとどんな曲もブラック・ミュージックの色気と躍動感を帯びるから不思議だ。アレンジもギター一本で歌われるものからヒップホップテイストな打ち込みまで、雑多かつミクスチュアな感覚。自作、ガルデル、キューバの名曲「ドス・ガルデニアス」のタンゴ盤や、ミロンガのインスト曲も。録音も今時の音像で、とてもコンテンポラリー 。でもなんと言っても「声」だなあ。ほんと枯れない人です。タンゴだけれども、「絶倫」という言葉がぴったりくるスケベでリッチなブラック・ミュージックです。【ディスク2】ウルグアイの黒い魔術師ルベン・ラダ2014年発表の「タンゴ、ミロンガ、カンドンベ」のディスク2はタンゴな1とはうって変わってお得意のカンドンベ集。全て自作曲でこれぞルベン・ラダワールド!という世界が横溢する。もちろん全編にタンボール(太鼓)隊をフィーチャーし、コンテンポラリーかつクロスオーバーなカンドンベ。「安心の」ルベン・ラダ印だ。ふと思ったけど世界観的にポール・サイモンの「グレイスランド」や「リズムオブザセインツ」に通じる部分もあるなあ。あるいはルベン・ブラデスの「ブスカンド・アメリカ」とか。ジルベルト・ジルの80年代の作品にも。そう。ルベン・ラダが表現しているのは一貫してクロスオーバー・ミュージックなんだと思う。伝統音楽カンドンベのコンテンポラリーミュージックとの親和性を世界に発信し続ける怪人。このディスクをきいて「おっ」と思った方はCandombeで動画を検索してみて欲しい。ルベン・ラダとウルグアイについてより深くを感じられる筈。
月刊ラティーナ2015年12月号掲載
(SAIGENJI)