INDEPENDIENTE
曲目
1. Inflexiones
2. El milagro
3. La del charquito
4. Romance de barrio
5. Don Agustín Bardi
コントラバスのジャズ的な独奏から始まる本作は、管弦楽的な小編成によるタンゴ作品。作編曲を手がけたのは1985年生まれのギタリスト、アレハンドロ・ペトケビシウス。彼を中心にクラリネット、ヴァイオリン、コントラバスを加えた4人組。タンゴのみならずフォルクローレ、クンビアも演奏するアレハンドロのように、他のメンバーもクラシックやジャズなど多ジャンルで活動する音楽家たちだ。ゲストにもフォルクローレやジャズで活動する女性歌手を呼んでいるのがこのグループのスタンスなのだろう。全5曲と短いアルバムではあるが、すべてが上質だ。ポンティエル作曲の 2. 、トロイロ作曲のワルツ 4. 、そしてサルガン作曲の 5. では、バンドネオンやピアノをこの編成に置き換えた編曲の妙技 がある。とはいえ 1. 3. の伝統的でありながらモダンな和声感覚を持ったオリジナル曲こそが彼らの本領なのだろう。今後にも期待したい。
月刊ラティーナ2017年1月号掲載
(宮本剛志)