曲目
1. PA’ MÍ ES IGUAL 2. TINTA VERDE 3. CARNAVALITO 4. COMO SE HACE UN TANGO 5. NO NOS VEREMOS MAS 6. ME LLAMAN EL ZORRO 7. EL PESCANTE 8. PENA DE AMOR 9. CHATERO DE AQUEL ENTONCES 10. MONEDA DE COBRE 11. SOY DEL ‘90 12. LA COSA FUE EN UN BOLICHE 13. ROPA BLANCA 14. CANTA PAJARITO 15. SE FUE 16. EL BAILE DE LOS DOMINGOS 17. UNA EMOCIÓN 18. PALOMITA MÍA 19. AL PASAR 20. Y SIEMPRE IGUAL
今日ルシオ・デマーレの名前が記憶されているのは、何と言っても40年代のタンゴ歌曲屈指の傑作「マレーナ」(作詞:オメロ・マンシ)の作者としてだろう。若き日のトリオ・アルヘンティーノ(歌手のアグスティン・イルスタ、ロベルト・フガソと共同)での活躍や、晩年のピアノ・ソロ・アルバムも忘れがたいが、肝心のオルケスタとなるとLP時代には復刻盤も少なく、CD時代になって若干改善されたかという印象なので、このような全集はありがたい。楽団としての強い個性はなくとも、全体のバランスが素晴らしい。時代の魔法と言うべきか、このような洗練された響きは、技術の進んだ今日の奏者が束になっても出すことは叶わないだろう。 3. 以降の全曲が、後にフランチーニ=ポンティエル楽団やトロイロ楽団などでも活躍する名歌手ラウル・ベロンの歌。サルガン作のワルツ 15. は作者自身の録音がなく、とりわけ珍しいレパートリーではないだろうか。
月刊ラティーナ2017年1月号掲載
(斎藤充正)