録音年 1956-2006年 ロサリオ、アルゼンチン録音 Ediciones musicales rosarinas
曲目
1. Fueron trs años 2. La canción de Buenos Aires 3. Remembranaza 4. Preludio y rondnó 5. Progresión 6. Volver 7. Tu piel de jazmín 8. Retirado 9. Oasis 10. Años de soledad 11. Mariposita
40年代末から地方都市ロサリオで活動してきたバンドネオン/ピアノ奏者オマール・トーレスは、独自のスタイルのモダン・タンゴを展開して「ロサリオのピアソラ」とも称された存在で、惜しくも本年4月に87歳で没した。07年発売の本盤は、3つの異なる活動時期の録音を編集しており、コンパクトに彼の軌跡を辿ることができる内容。 1. ~ 3. はオルケスタ・ティピカで女性歌手と共演した56年録音。和声的に豊かな編曲を目指しており、若き日のアントニオ・アグリがバイオリンのトップを務める弦セクションの響きが美しい。 4. 5. は88年から90年の間の録音で、当時カセットのみで発売された音源。電化されたキンテート編成によって幻想的な音色の現代タンゴを追求した自作に彼の真骨頂を聴ける。残りは弦楽オケによる06年録音。同編成でのアルバム2枚が既発で、躍動感は少ないものの味わい深いコクが感じられる演奏だ。
月刊ラティーナ2015年12月号掲載
(鈴木一哉)