録音年 1949-64年 アルゼンチン録音 BATC
曲目
1. Ojos Negros 2. Re Fa Si 3. Retintin 4. Lorenzo 5. Corazon De Oro(V) 6. Inspiracion 7. La Puñalada 8. El Entrerriano 9. El Opio 10. Quejas De Bandoneon 11. Rodriguez Peña 12. El Tigre 13. Pajaro Silvestre 14. La Barra Fuerte 15. Vibraciones Del Alma(V) 16. El Choclo 17. La Cumparsita 18. Felicia 19. Halcon Negro 20. Pajaro Azul
アルゼンチンで初のLP(8曲入り)が発売されたのは1951年、カナロ楽団の、すでに78回転レコードで出ていた曲を集めたものだったとのこと。このアルバムは、その時期(タンゴ・ファンにとっては過去の人だった)から亡くなる直前までの、歌なしの演奏を選んでいる。フランシスコ・カナロ(1888-1964)は、長いあいだ大多数の人びと(タンゴ・ファンでない人も含んで)にとってタンゴの代名詞だった指揮者だ――音楽の実務は楽団のピアニストが統率したが。彼を紹介しているとタンゴの歴史を書かなくてはいけないので、ここでは省略する。彼が「タンゴとの銀婚式」をむかえた1956年の録音、自作のタンゴ 14. とワルツ 15. に、わたしには、いちばん音楽家カナロの姿が浮かんで見える。 16. 17. 18. は日本での録音。音質はいいとはいえないが、ザラザラした感触は、昔の一般的な小型プレイヤーのもので、時代の気分はたっぷり。
月刊ラティーナ2015年10月号掲載
(高場将美)