録音年 2012-2013年 アルゼンチン録音 INDEPENDIENTE
曲目
●曲目 1. チキリン・デ・バチン 2. バーロ・タルベス 3. コケッテ 4. ルーカス 5. ニエブラス・デル・リアチュエロ 6. ルビアス・デ・ニューヨーク 7. モントルー 8. チーク・トゥー・チーク 9. ミッシェル/4月 10. ホエン・アイム・シックスティー・フォー 11. ガジェット警部 12. アンシエダ●演奏:ビクトル・ルノドー(vn、viola)、マティアス・チャピーロ(p、piano eléctrico、他)●ゲスト:ホルヘ・ベルヘーロ(vc)、ハビ・マルティネス(per)、チャンゴ・スパシウク(acor)、フアン・パブロ・ナバーロ(cb)
良くある楽器の組み合わせ……と思ったら、想像以上の引き出しの多さに感心してしまう意欲作。チャンゴ・スパシウクとも長い共演経験を持つバイオリン奏者ビクトル・ルノドーと、ピアノ奏者マティアス・チャピーロによるラ・コルダ・デュオの初アルバムだ。冒頭のピアソラ 1. からエレピを使ってメロウに聞かせたかと思えば、ガルデルの隠れた名曲 6. はディキシーランドジャズスタイルで爽快に弾き切ってしまう。しまいにはビートルズ 9. 10. にアニメのテーマ 11. まで……どれもデュオで飽きさせないのは、アレンジに詰め込まれたアイデアと抜群の演奏能力ゆえだろう。シンセサイザーやSEも効果的に用いられている。奇を衒ったレパートリーのみならず、スピネッタ 2. やパスコアル 7. は真正面からしっとりと、かつドラマチックに聴かせてくれるのも好印象。スパシウク作 4. では本人も参加し、静かながら熱のこもった演奏を聴かせる。
月刊ラティーナ2014年8月号掲載
(清川博貴)