録音年 2015年 アルゼンチン録音 SHAGRADA MEDRA
シャグラダの真骨頂 うっとりするほどの優美さ
曲目
1. La mañana 2. El isleño 3. Elba 4. Elegía de la tormenta 5. Matriz del agua 6. La espantamuerte 7. Domingo 8. Ausencia en las redes 9. Despierta 10. Río dejame
ラプラタ川から分岐するパラナ川を辿っていくと、その支流に河口の村々が現れる。そのなかの「ミロンガの河口」と呼ばれる村で暮らすある漁師の家族の物語を音楽で綴ったコンセプチュアルな作品。マルティン・ネリのギター弾き語りをメインに、『シャグラダ・メドラ』主宰のカルロス・アギーレ、コントラバス奏者フェルナンド・シルバ、フアン・キンテーロ(弦楽アレンジ 10. )ら現代フォルクローレの才人たちがシンプルなアンサンブルを添える。マルティンの歌声はなぜだか母親が絵本を読み聴かせるときのような安心感を与えてくれる。個人的に聴きどころはタイトル曲 5. 「水の母胎」。漁師一家に生まれた6歳の娘の人生を、アギーレのピアノとマルティンの歌声が物語る。とても静かで、慎ましく、神秘的なパラナ川との生活が音楽とシンクロする美しさ。そして、川の水脈とこの地に魅せられた音楽家たちの響音に心からうっとりする。
月刊ラティーナ2016年4月号掲載
(鈴木多依子)