INDEPENDENTE
曲目
1. Acrílico 2. Despertador 3. O Seu Azul 4. Zebra Dálmata 5. Na Quebrada 6. Caramelo da Nostalgia 7. Kawaii 8. O Que Eu Não Sei 9. Grão de Sal 10. Olhinhos 11. Voo Rasante 12. Aperta a Minha Mão
2010年の赤盤、青盤が鮮烈だったニーナ・ベケール。エレクトリック・ギターを携え、英米のインディー・ロック的なMPBを聴かせるというのが当時の彼女の印象だった。だが、2014年の前作はアコースティックなサンバ・カンソン集。そして、今作はというと、これが形容が難しい。ジャズへの接近があるのは確かだが、二つのヴォーカルが違うメロディーを歌い続ける冒頭のタイトル曲からして、かなり挑戦的。モアレ状に絡む各楽器に、コーネリアスの最新作を思い浮べたりもする。その後もデヴィッド・クロスビーのモーダル・ロックやブリジット・フォンテーヌとアート・アンサンブル・オブ・シカゴを思い起こしたり。前衛的な要素には事欠かない。共作、共演者はオルケスタ・インペリアル時代からの盟友が多く、集団で音楽性を更新している様が伝わる。かつ、ニーナの歌にはサンバ・カンソンの深い情感が宿り、貫禄さえ感じられる。
月刊ラティーナ2018年3月号掲載
(高橋健太郎)