Biscoito Fino
ピアノ・トリオ+トロンボーンバンド編成によるサンバジャズ仕立て
曲目
1. Mas Que Nada (Jorge Ben Jor) 2. Tim Dom Dom (João Mello / Clodoaldo Britto) 3. Balança Pema (Jorge Ben Jor) 4. Vem Morena, Vem (Jorge Ben Jor) 5. Chove Chuva (Jorge Ben Jor) 6. É Só Sambar (Jorge Ben Jor) 7. Rosa, Menina Rosa (Jorge Ben Jor) 8. Quero Esquecer Você (Jorge Ben Jor) 9. Uála Uála-Lá (Jorge Ben Jor) 10. A Tamba (Jorge Ben Jor) 11. Menina Bonita Não Chora (Jorge Ben Jor) 12.Por Causa De Você, Menina (Jorge Ben Jor)
ジョイスの長女クララ・モレーノの6年ぶりの新作は『ミス・バランソ』のコンセプトをさらに突き詰め、「マシュ・ケ・ナーダ」の大ヒットを生んだジョルジ・ベンジョールのファースト・アルバム『サンバ・エスケーマ・ノーヴォ』(63年)を曲順どおりにフル・カヴァーした。あえてギターを排し、ジョアン・クリスタルのピアノ・トリオ+トロンボーンのバンド編成によるサンバジャズ仕立て。おそらくほとんど一発録り、ライヴ感が心地よいが、事前に入念なアレンジを施し、原曲とは異なるコード進行も加えるなどして、名盤をみごとに解体新書化している。クララの歌声にはフェルナンダ・アブレウに似たところがあり、やさぐれたヤンキーっぽい節回しが当時のジョルジのキャラにピッタリだ。ソロ・デビューから約20年、回り道した時代もあったがここに来て自分の道がハッキリ見えた、そんな手応えを感じる。
月刊ラティーナ2015年7月号掲載
(中原 仁)