ジルベルト・ジル
■ブラジル音楽の歴史を作り出してきた音楽家「ジルベルト・ジル」。
■音楽に専念するために文化大臣を辞任し、フルバンドを率いて、万全の状態で来日する!
■
月刊ラティーナにて、ジルベルト・ジルの足跡を振り返る特集「ジルベルト・ジル再考<今年はジルに抱擁を!>」掲載中
*各記事は、pdfファイルでダウンロード可能。
08年2月号第1回
「今年はジルに抱擁を!〜日本ブラジル交流年に、ジルベルト・ジルの来日決定 texto por 花田勝暁」
08年3月号第2回
「トロピカリアから見えてくるリーダーとしてのジル texto por 花田勝暁」
08年4月号第3回
「ジルの中にあるルーツ・ミュージックを探る texto por 花田勝暁」
08年6月号第4回
「ジルベルト・ジル〜1人の政治家として texto por 岸和田 仁」
08年7月号第5回
「ジルの体内を流れるバイーア/ブラック・ミュージックの濃厚な血流 texto por 中原 仁」
08年8月号第6回
「インターネット時代、新たなミュージシャン像を提示し続けるジル texto por 高橋道彦」
■ジル
ベルト・ジル
ブラジルにおいて、大衆音楽は真に生活に根ざしており、大衆音楽家は、掛け値なしに大衆から尊敬されている。ブラジルの有名な大衆音楽家であり、文化大臣も務めたジルベルト・ジルはその最たる例だ。
1942年生まれのジルベルト・ジル。彼は、とても問題意識の強い人間で、自らの歌、詞、そして音楽すべてを通じて社会にメッセージを送り、旺盛な活動を続け、強いオーラを発してきた。子供の頃から自然に音楽に親しみ、大学を卒業するころには、重要な大衆音楽家の一人となった。
ジルは60年代前半からテレビ番組にレギュラー出演しボサノヴァ・スタイルのギターと歌を披露。バイーア州(ブラジル北東部)が同郷の
盟友カエターノ・ヴェローゾ
との初対面の際の会話は、ジョアンとボサノヴァについてだったという。
以後、その音楽性は次第にボサノヴァからポップス/ロック・ミュージックへ傾いていく。ジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾが人気テレビ音楽番組で数々の栄光に輝いたこともあり、67年ごろには、2人が中心になった「地方的な伝統音楽を現代感覚で再生しようとする」
トロピカリア運動
が、若者をとらえる。が、当時のブラジルは軍政時代、もの言う音楽家であったジルへの弾圧は高まり、ロンドンへの亡命を余儀なくされる。しかし、ロンドンでの活躍によって、ブラジル音楽を欧米に広める役割をした。
軍政が終わり70年代にブラジルに戻ると、大衆の立場にたって大衆の心を代弁する音楽家として活躍し、現在まで、第一線で活躍する大衆音楽家として支持を集める。時事的な話題を歌詞に盛り込むだけではない。ポップス/ロック・ミュージックを媒介に、国語や詩や歴史や宗教について発言してきた。各方面からの支持があり、2003年よりブラジルの文化大臣として活躍している。文化大臣でありながら、音楽活動も続け、大衆音楽を通して大衆の問題を啓発し続ける彼の姿勢は、大衆に支持され続けている。
■ジルベルト・ジルの最新ライヴ・ツアー「バンダ・ラルガ・コルデル」
「バンダ・ラルガ・コルデル」。現文化大臣も務める音楽家ジルベルト・ジルの最新ライヴ・ツアーの名前だ。
どうして「バンダ・ラルガ(ブロードバンド)」なのか? 電子技術への興味を持ち続けてきたジル。“文化大臣として”も、ますます複雑化する著作権問題にも積極的に取り組んできた姿勢は、広く評価されているが、“音楽家として”表現活動の最先端を模索する試みが、この「バンダ・ラルガ」だ。
ジルは今回のコンサートの模様を、観客が自由に録画してWebを通じてどのように発信してもよいとし、今までの肖像権の考え方に捉えられない姿勢を打ち出した。実際にヨーロッパ・ツアーの模様は、Blog、YouTube、Second Lifeといった新世代のWEBツール上で発信されていった。バイトやビットの世界の新しい表現の可能性を、自分自身が先導し広げていこうという気概に溢れている。
97年に発表したアルバム『Quanta』は、当時のパイオニアであったが、オンライン上でも発表した。また同年「Pela Internet(インターネットを通じて)」という曲を、曲の名のごとく、ブラジルで始めてインターネット配信される曲として発表。また、今回のツアーに発展することになった前回のツアー「Eletracustico」では、国連の本会議上で歌を披露するという場面もあった。ジルは会議上で美しい歌を披露し、「私がやりたいのは政治だ」と美しく宣言した。
音楽家/政治家としてのジルの絶え間ない軌跡の中でも、ますます深まる音楽家としての表現欲と、音楽家/政治家として問題提起が込められたのがジルベルト・ジルの最新ツアー「バンダ・ラルガ(ブロードバンド)」だ。(08年2月記)
■
ショート・バイオグラフィー
1942年6月26日ブラジル北東部のバイーア州生まれ。父親は医者で、母親は教師
1950年 中学校入学のためにサルヴァドールへ引っ越す
1960年 バイーア連邦大学入学
1965年 サラリーマンとしてサンパウロで就職
1966年 1stアルバム発表
1967年 トロピカリア・ムーブメントを牽引
1969年 イギリスへ亡命
1972年 ブラジルへ戻る
1975年〜代表作といわれる『Refazenda』『Refavela』『Realce』といったアルバムを次々と発表
1988年 サルヴァドールの市議会議員に当選(〜1992年まで)
1993年 カエターノ・ヴェローゾと『トロピカリア2』を発表。世界的にトロピカリア・ムーヴメントの再評価のきっかけとなる
2003年 ルーラ政権の文化大臣
2008年7月30日 文化大臣を辞任
■
近年の主な受賞
・Grammy Award for Best World Music Album(1998年)
・Grammy Award for Best Contemporary World Music Album(2005年)
・The Polar Music Prize(2005年、スェーデン国王による表彰)
・Légion d'honneur(2005年、フランス政府による表彰)
日本ブラジル交流年
JAPAN TOUR 2008
9. 9(火)
大阪厚生年金会館・芸術ホール
開場18:30 開演19:00
チケット前売 6,000円
当日 7,000円
主催:FM802
問い合わせ:キョードーチケットセンター(06-7732-8888)10:00〜19:00
9.11(木)
東京国際フォーラム・ホールC
開場18:30 開演19:00
チケット前売 S席8,000円 A席7,000円
当日 S席9,000円 A席8,000円
主催:J-WAVE/ラティーナ
問い合わせ:ラティーナ(03-5768-5588)
New Album
ジルベルト・ジルのニュー・アルバム『バンダ・ラルガ・コルデル』
WARNER MUSIC JAPANより8月6日リリース!
ベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』も同時発売!