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中原仁氏監修の「21世紀ブラジル音楽ガイド」(ele-king books)が発売になりました!

2018年7月25日 水曜日

本書は、21世紀のブラジル・ポピュラー音楽にフォーカした、ブラジル音楽の「今」を知るためのディスクガイドブックです。今世紀に入って頭角を現した世代の音楽家を軸に、現在進行形のブラジル音楽を紹介していきます。
(「21世紀ブラジル音楽ガイド」、「はじめに」より)

中原仁さん監修によるブラジル音楽全般を対象としたガイド本としては、2001年に発売された「ブラジリアン・ミュージック2001」(1995年に発売された「ブラジリアン・ミュージック」の続編)以来となり、待望の1冊が満を持して登場しました。

当方、大学生のときに「ブラジリアン・ミュージック2001」が発売されて、洋楽・邦楽ロックを経てカエターノ・ヴェローゾとマリーザ・モンチに出会いブラジル音楽に入った自分にはドンピシャな内容で、「ブラジリアン・ミュージック」と「同2001」を様々なブラジル音楽と出会う指針にさせていただきました。

以前(10年くらい前?)に「〈ブラジリアン・ミュージック2001〉の続編は出されないんですか? 」と中原仁さんにうかがったことがあるんですが、その時は、「次の世代の人が作ればいいんだよ」とおっしゃっていらっしゃいました。でも、結局は、中原仁さん以外にまとめられる人がいなく、30歳前半〜50代前半の書き手をまとめて、中原仁さんが「21世紀のブラジル・ポピュラー音楽にフォーカした」ガイド本を上梓されました。(中原仁さん以外の書き手は「ブラジリアン・ミュージック」シリーズと重なっていない! というのもすごいことだなあと)

中原仁さんの作られるガイド本は、ブラジル以外の音楽を音楽好きとしての入り口にもつ人が、ブラジル音楽との様々な出会いを持つのに相応しく設計されていると思います。当方がそうだったように。

勝手に本書を読んで欲しい人について語ります。ブラジル音楽に興味があって色々聴き漁りたいと思っている人はもちろんですが、コーネリアスや菊池成孔、くるり、ceroといったアーティストのファンで、彼らがブラジル音楽を愛好していることをなんとなく知っている人が、現在進行形のブラジル音楽に魅了されるきっかけになれば、一番ハッピーなんじゃないかと思います。

目次
◆CHAPTER 01 +2とリオのインディー・ポップ
◆CHAPTER 02 ノヴォス・コンポジトーレスとサンパウロ・シーン
◆CHAPTER 03 ミナス新世代
◆CHAPTER 04 MPB
◆CHAPTER 05 Samba Soul / Funky Groove / Urban
◆CHAPTER 06 Hip Hop / Funk / Drum’n Bass / Electro / Reggae / Street Beat
◆CHAPTER 07 Bahia(バイーア)
◆CHAPTER 08 Nordeste & Norte ノルデスチ(北東部)とノルチ(北部)
◆CHAPTER 09 Rock / Folk & Country
◆CHAPTER 10 Samba
◆CHAPTER 11 Instrumental
◆CHAPTER 12 90′s 世代
◆CHAPTER 13 Maestro, Legend
◆CHAPTER 14 International

監修:中原仁

筆者(50音順):伊藤亮介、江利川侑介、KTa☆brasil、佐々木俊広、宿口豪、高木慶太、橋本徹、花田勝暁、堀内隆志、村田匠

編集:野田努(ele-king books)

装丁:渡辺光子

192ページ、全4色

発行:株式会社Pヴァイン(ele-king books)

定価:2,646円(税込)

刊行:2018年7月25日

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同時リリース CD「Musica Brasileira No Seculo 21(21世紀ブラジル音楽)」

P-VINE PCD-20398
2018年7月25日発売
定価 2,000円+税
監修・選曲・解説:中原仁

[収録曲]

1. Moreno Veloso / Um Passo a Frente
2. Domenico Lancellotti / Insatiable
3. Kassin / Relax
4. Nina Becker / Acrilico
5. Ana Claudia Lomelino / Colo do Mundo
6. TONO / Da Bahia
7. Bruno Capinan / Promessa
8. Luana Carvalho / Oxum Minha Mae
9. Joao Sabia / Nossa Copacabana
10.Tulipa Ruiz / Efemera
11.To Brandileone, Ze Luis Nascimento / Eu Sou Outro
12.Pedro Viafora / Feliz pra Cachorro
13.Dani Black / Seu Gosto
14.Vanessa Moreno / Zimbadogue
15.Tatiana Parra / Depois
16.Cesar Lacerda / Me Adora
17.Alexandre Andres & Rafael Martini / Tamarindo
18.Joana Queiroz Quarteto / Martin,Camilo y Juan
(全18曲、74分)

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(文責:花田勝暁[月刊ラティーナ編集長])

ペドロ・ミランダ with グルーポ・カデンシア ジャパンツアー2018

2018年6月21日 木曜日

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サンバ新世代の旗手ペドロ・ミランダがリオから来日、日本最高のサンバ・バンド、グルーポ・カデンシアと共演する【Pedro Miranda with Grupo Cadência Japan Tour 2018】。
6月28日から始まります。

http://pedromiranda.jugem.jp/

6/28(木)鎌倉 cafe vivement dimanche
※残席あり

6/29(金)東京 プラッサ・オンゼ
※立ち見残り10名少々で満員札止め

6/30(土)大阪 Chove Chuva
※満員札止め、予約受付終了。

7/1(日)名古屋 オキナワAサインバーKOZA
※残席あり

7/4(水)東京 プラッサ・オンゼ
(Roda de Samba com Pedro Miranda)
楽器持参で参加可
立ち見での案内

7/5(木)東京 晴れたら空に豆まいて
(Rio→Tokyo Special Samba Night)
Bloco Quer Swingar Vem Pra Cáも出演
立ち見での案内

ペドロ・ミランダ(vo, pandeiro)from Rio de Janeiro
グルーポ・カデンシア:宮澤 摩周(perc)尾花 毅(violão de 7 cordas)ダリオ・サクモト(cavaquinho)土井 徳浩(clarinet,sax)+ 和田 充弘(trombone)

ご予約はお早めに!

http://pedromiranda.jugem.jp/

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その5

2016年10月2日 日曜日

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。フレデリコ・エリオドロ、セリアル・ファンカーズについて紹介します。

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ブラジリアン・ポストロックの傑作!

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⚫︎FREDERICO HELIODORO / ACORDAR
⚫︎フレデリコ・エリオドロ / アコルダール
CD:2,160円(税込)

◆これまで新世代ミナス派のシーンで、セッション・ベーシストのトップ・プレイヤーとして多くのアーティストを支え、またジャズ/インスト寄りの自身のリーダー作品を発表し注目されてきたフレデリコ・エリオドロ。彼はミナス・シーンを支える中堅シンガーソングライターのアフォンシーニョの息子としても知られるが、本作ではベースと一旦置いて、自分のメロディックなオリジナル曲をギター片手に歌う。父譲りの歌声は柔らかい。彼の「スリーピースバンド」には、モントルー・ジャズ・フェスティバルでのギタリストのコンペティションで優勝し注目を浴びるペドロ・マルチンスが参加。ドラムは、アントニオ・ロウレイロとの活動でも知られるミナス若手ナンバーワン・ドラマーのフェリペ・コンチネンチーノ。ミナスの3人の気鋭の才能が集結し「ロック」する。ポストロックの先を行く、ブラジリアン・ポストロックの傑作が誕生した。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:花田勝暁】

▪️Frederico Heliodoro – SONHO (Álbum “Acordar” 2015 Single)

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ダンサブルでファンクでソウルフル!

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⚫︎SERIAL FUNKERS / PORQUE FUNK É COISA SÉRIA
⚫︎セリアル・ファンカーズ / ポルキ・ファンキ・エ・コイザ・セリア
CD:1,836円

◆サンバソウルやファンク好きの皆様にはちょいと聴いて頂きたいバンドかも。ボーカル/キーボード/ベース/ドラムの4人編成でYouTubeにてマイケル・ジャクソン、チン・マイア、ビー・ジーズ、ジルベルト・ジルのカバーをメドレーでスタジオライヴしてる動画、とにかく演奏がタイトなので騙されたと思って見て欲しい。上記のラインナップから影響を受けたと分かればサウンドも想像して頂ける通りダンサブルでファンクでソウルフル! 2006年結成なのに今回が初リリース作品ともあって、セウ・ジョルジの右腕的存在ガブリエル・モウラが書いた①を筆頭にサンバ・ホッキ(サンバとファンクを合わせたリズムパターン)全開な④など気合十分。ワングルーヴな楽曲が多いにも関わらず、各々にニュアンスを変えつつアルバムを展開していくのは見事。これもキャリアの賜物だろうか。今後のリリースも期待出来るバンドの登場に胸が躍る。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:村田匠(カルナバケーション)】


▪️360º Serial Funkers Classics – Samba pra Juju

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その4

2016年10月1日 土曜日

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。女性ヴォーカルの二人、カロル・アンドラーヂ、カチア・テイシェイラについて紹介します。

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すっと心に染み入る良作

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⚫︎CAROL ANDRADE / SORRIA
⚫︎カロル・アンドラーヂ / ソヒア
CD:2,376円(税込)

◆カロル・アンドラーヂは1978年サンパウロ生まれ。2013年の『オウトラス・ムリェーリス』以来2枚目となるソロアルバムが本作で、ブラジリダーヂに溢れる清廉かつ親密な歌声を聞かせてくれる。前作ではその名の通り、ブラジルの女性作曲家にオマージュを捧げ、彼女たちが残した名曲をカロル自身のフィルターを通してカバー/再演。90年代末からの共同作業となるアレックス・マイアが指揮を執っており、最新作でも盤石の体制に変化はない。シキーニャ・ゴンザーガ、ファッチマ・ゲヂス、ジョイス、ヒタ・リー、アドリアーナ・カルカニョットを取り上げた前作に対し、本作は自作曲のみで構成。アレックスの流麗な演奏に乗りながら、外連味も小細工も効かせず歌う。ホーザ・パッソスに捧げる②に代表されるように、激しく心を揺さぶる、といった類いの音ではないが、すっと心に染み入る良作。ジョイスやホーザが好きなら手に取るべきだろう。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:船津亮平】

▪️Carol Andrade e Alex Maia / Nos passos da Rosa

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キャリア20年の実力派!

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⚫︎KATYA TEIXEIRA / CANTARIAR -21 ANOS DE CARREIRA-
⚫︎カティア・テイシェイラ / カンタリアール -21アーノス・ヂ・カヘイラ-
CD:2,268円(税込)

◆実に過去4作中3作がブラジル音楽大賞にノミネートという実力派、フォルクローレ女流派の旗手的存在のカチア・テイシェイラ。新旧異種様々な文化や音楽が混ざり合い、変化を繰り返すブラジルにあって、対照的にその源流をストイックに遡り続ける修験者だ。凛とした空気感、深い哀愁を帯びた曲は娯楽というより極上の癒しとして、ブラジルはもちろん広く南米各国のラティーノスたちの心までも強く揺さぶってきた。5作目はキャリア20年を越えた彼女のマイルストーン的な思い入れの強い作品で、自作曲のほかにも、エルメート・パスコアルやアウミール・サテールらへの提供でも知られる御大ジョアン・バー、ホヂーニャ・ヂ・ヴァレンサらの楽曲に、フォルクローレを含む15曲を厳選。広い大地を見渡すような抜け感と、美しい情景が思わず目に浮かぶ心地良さは特筆モノだ。同じ空気感を持つモニカ・サウマーゾあたりの愛聴者には聴き応え抜群のはず。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:谷口 洋】

▪️KÁTYA TEIXEIRA & TARANCÓN / Canto Lunar

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その3

2016年9月30日 金曜日

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。記念作品集的な3点、ヴァニア・バストス・イ・マルコス・パイヴァ、MPB4、ホムロ・フローエスについて紹介します。

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ピシンギーニャ没後40年記念コンサート作品

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⚫︎VÂNIA BASTOS E MARCOS PAIVA / CONCERTO PARA PIXINGUINHA
⚫︎ヴァニア・バストス・イ・マルコス・パイヴァ / コンセルト・パラ・ピシンギーニャ

CD:2,592円(税込)

◆没後40年を記念して2013年に開催されたコンサートの作品化。実力派コンバス奏者のカルテットをバックに、個性溢れるサンパウロのベテラン女性歌手が歌い上げた快演だ。80年代のバルナベーやイタマール、エドゥアルド・グヂンとの共演、90年代以降はカエターノやジョビン、クルビ・ダ・エスキーナなどコンセプトに即した作品が印象的なヴァニアだが、本作も同様に驚きを持って受け入れるべきだろう。ブラジル音楽の中心に居続ける大樹の一つとも言える作曲家のカヴァーとなれば、歌手にとって真の実力が試されるごまかしの利かない企画であるし、まして60に手が届かんとしている時期でのパフォーマンス。しかしながら当のヴァニアは80年代や90年代と変わらず活き活きとしているように感じられる。レパートリーやマルコスの指揮との相性もお見事。聴けばピシンギーニャが身近に感じられる……という形容は大げさではないと思う。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:船津亮平】

▪️Lamento / Vânia Bastos e Marcos Paiva

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活動50年記念作品!でも依然として若々しい歌声!

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⚫︎MPB4 / 50 ANOS
⚫︎エムペーベー・クアトロ / 50アーノス
CD:2,052円

◆実に多くのコーラス・グループのアルバムがリリースされるブラジルにあって、その最高峰、MPB4の新作は活動50年を記念してのもの。これだけの活動期間を経ても歌声は依然として若々しい。①のタイトル通り奇跡と言う他ない。数多の作品にゲスト参加し、ソングブックなど企画作品では印象的な曲を担当しているので、グループ名義のアルバムをお持ちでない方でも、そのコーラスは必ず耳にしているはず。最近ではボレロが多い作品もあったが、本作はMPBの多様性を網羅するような作品。ジョアン・ボスコやギンガ、マリオ・アヂネーらのベテランとフレッヂ・マルチンスなどの若手の作品がバランス良く並ぶ。クレイトン&クレヂールのように日本では紹介される機会の少ないアーティストの楽曲も良い。アレンジはジルソン・ペランゼッタ。腕利きのスタジオ・ミュージシャンをバックに軽やかに歌う作風は流石だ。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:ノビオ】

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リオの裏山サンバ古典とサンパウロの前衛サンバの邂逅!

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⚫︎ROMULO FRÓES / REI VADIO – AS CANÇÕES DE NELSON CAVAQUINHO
⚫︎ホムロ・フローエス / ヘイ・ヴァヂオ – アス・カンソォンイス・ヂ・ネルソン・カヴァキーニョ
CD:2,160円(税込)

◆パッソ・トルトの3作を含めると既に11作目と多作なホムロ・フローエスの、没後30年のオマージェンという形でいよいよ実現したネルソン・カヴァキーニョ集。リオの裏山サンバ古典とサンパウロの前衛サンバの邂逅は、同胞パッソ・トルト/メタ・メタ勢にメストリ・ピンパの打楽器、ドナ・イナー、ナー・オゼッチ、クリオーロの客演を得て、痙攣するギター、唸るベース、テナー・サックスのフリークトーン、ノイズの近景と遠景に響くノスタルジックなトロンボーン、そして、歌はあくまで気高く甘やかにメランコリック。サンバを様式の中に安住させるのでなく、ブルーズであり街のノイズであり、もう一つの面を浮かび上がらせることで、「現代の唄」に生き返らせている。刺々しくささくれだちながら、とめどなく溢れる愛に満ちた作品は、リオ右派には新たなサンバのあり方を、サンパウロ左派には永遠の歌を発見させるだろう。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:松澤正宏】

▪️Romulo Fróes / Rei Vadio As Canções de Nelson Cavaquinho

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その2

2016年9月27日 火曜日

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。女性ヴォーカル特集その2は、マヌエラ・ホドリゲス、ジュリアナ・アマラル、アナ・パウラ・ダ・シルヴァです。

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バイーアだけにとどまらない魅力!

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⚫︎MANUELA RODRIGUES / SE A CANÇÃO MUDASSE TUDO
⚫︎マヌエラ・ホドリゲス / セ・ア・カンサォン・ムダッシ・トゥード
CD:2,268円(税込)

◆ニューオーリンズで音楽を学んだ経験もあるバイーアのシンガー/ソングライター、マヌエラ・ホドリゲスのサードアルバム。グスタヴォ・ヂ・ダルヴァ、タデウ・マスカレーニャス、アンドレ・T、ジョアン・ミレー・メイレリスといったバイーアの才人たちがプロデュースを分担し、エレクトロニカ、アフロ・バイーアのパーカッション・サウンド、ファンク・ロックなど、曲ごとにヒネリを利かせてシーンがめまぐるしく転回するが、大地から空に響く遠心力を備えたマヌエラの歌声が統一感をもたらし、「歌が全てを変えるなら」というタイトルにも納得できる。打ち込み+声の多重録音でカヴァーしたサンパウロのホムロ・フローエスの作品、シルヴィア・マシェッチやニコラ・クラシッキをゲストに迎えた曲、カズアリーナのジョアン・カヴァルカンチとの共作・共演もあり、バイーアだけにとどまらない軽快なフットワークも魅力。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:中原 仁】

▪️Manuela Rodrigues / Bagagem

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じっくりと聴き込みたい力作

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⚫︎JULIANA AMARAL / AÇOITE
⚫︎ジュリアナ・アマラル / アソイチ
CD:2,268円(税込)

◆このアルバムに、軍事政権の抑圧厳しい時代に産み落とされたミルトン・ナシメントのヘヴィな名盤「ミラグリ・ドス・ペイシーズ」を彷彿とさせる、あの言い知れぬ空気が内包されていると感じるのは評者だけだろうか? 知的な都会派サンバが持ち味「であった」サンパウロの女性シンガー、ジュリアナ・アマラウ四年ぶりの新作を聴き、その収録曲が放つメッセージ性の強烈さに驚いた。「鞭」あるいは「厄」という意味を持つアルバムタイトル、「この暴力の時代において、無関心は怠慢であると思います」と書かれたクレジット序文を通じ、これは懊悩する彼女の心の底から搾り出されたプロテストソング集なのだと理解する。ヴィオラ・カイピーラの音色が世捨て人的な儚さをもって鳴り響き、ヴォーカルと演奏はアルバム終盤に近づくごとにドラマチックな激しさを増していく。歌詞を訳しながらじっくりと聴き込みたい力作である。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:上沖央明】

▪️JULIANA AMARAL / AÇOITE AO VIVO

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飛び抜けた歌の力!キャリア20周年の記念作品

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⚫︎ANA PAULA DA SILVA / RAIZ FORTE
⚫︎アナ・パウラ・ダ・シルヴァ / ハイス・フォルチ
CD:2,160円(税込)

◆サンタ・カタリーナ州出身の女性シンガー・ソングライター、アナ・パウラ・ダ・シウヴァの最新作は、自身のキャリア20周年を記念する作品。彼女自身の歌とギターに、ダヴィ・サルトリのピアノ、ウィリアン・ゴイのドラム/パーカッションというシンプルな編成だが、簡潔で切れのあるサウンドが実に小気味良い。が、なんと言っても彼女の歌の力が飛び抜けている。華やかで力強く、しかも包み込むような柔らかさと、心地よい余韻を兼ね備えている。本作ではルーツサンバを中心に、ブラジルの伝統的な音楽のみならず、サンタ・カタリーナと国境を接する、アルゼンチンのカンドンベなどをも素材とし取り上げている。自身の音楽的ルーツを掘り下げ、このトリオの研ぎ澄まされた音楽として再構築した意欲的な作品だ。余談ではありますが、彼女の慈愛に溢れたその顔は、まるでヘレニズム系の仏像の様ではありませんか。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:石郷岡 学】

▪️Ana Paula da Silva / Raiz Forte

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その1

2016年9月26日 月曜日

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。女性ヴォーカル特集その1として、ジュリアーナ・コルテス、クララ・グルジャォン、グラジイ・ヴィルチです。

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ディエゴ・スキッシ参加!極上のMPB作品

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⚫︎JULIANA CORTES / GRIS
⚫︎ジュリアーナ・コルテス / グリス
CD:2,160円(税込)

◆音の空間を意識したチェンバー・サウンドに乗せて、落ち着いた歌声が聞こえてくる極上のMPB作品。ブラジル南部の町クリチバ出身のジュリアナ・コルテスは、本作が2作目となる。プロデュースは、ナー・オゼッチの兄でもあるダンテ・オゼッチ。様々なタイプのナンバーが収められているが、とくに耳に残るのはアルゼンチンのタンゴやジャズ・シーンで才気を放つディエゴ・スキッシの参加曲。憂いに満ちたピアノと彼のキンテートのメンバーによるアンサンブルが、国境を行き来する感覚で楽しませてくれる。デュエットというよりはダイアローグといった方がしっくりくるパウリーニョ・モスカとの共演もユニークだ。また、アントニオ・ロウレイロがヴィブラフォンを弾いたガムラン風のアレンジに惹きこまれるなど、伏線がたくさんあってバラエティに富みながら、ジュリアナの抑制されたトーンの声が耳に残って心地いい。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:栗本 斉】

▪️Juliana Cortes e Paulinho Moska / MISMO

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カシンらプロデュースのポップなサウンド。澄んだ高音の美声
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⚫︎CLARA GURJÃO / ELA
⚫︎クララ・グルジャォン / エラ
CD:1,944円(税込)

◆ジャズサンバのギタリスト、ガットギターとヴォーカルのトリオのメンバーとしてリオのライヴ・サーキットで活動し、ヴァネッサ・ダ・マタのジョビン集で編曲と音楽監督のアシスタントをつとめたクララ・グルジャォンの、シンガー/ソングライターとしてのファーストアルバム。カシン、キーボード奏者のダニロ・アンドラーヂ(10月にカシンと共にソンゼイラ・ライブバンドのメンバーとして来日)、ベテラン・ドラマーのマルセロ・コスタとの共同プロデュースで、カエターノ作の○5とキューバの名曲 11. を除き全曲、彼女のオリジナル。サウンドはカシンの色が濃く、ジャズやキューバ音楽の要素も反映したポップな仕上がりだ。澄んだ高音の美声にはジャケットのイメージどおりコケティッシュな魅力があり、ヴァネッサや 7. にゲスト参加したシルヴィア・マシェッチに通じるキャラも備えている。声とギターが軸のアルバムも聴いてみたい。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:中原 仁】

◆Clara Gurjão / Ela

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今年上半期の女性Voの作品の良作の1つ!

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⚫︎GRAZIE WIRTTI / TUNGUELE
⚫︎グラジイ・ヴィルチ / トゥンゲレ
CD:2,268円(税込)

◆ブラジル最南端のリオ・グランヂ・ド・スル出身、ムジカ・ガウシャの音楽一家に育ち、現在はラパ周辺で活動するSSW、グラジエ・ヴィルチのデビュー作。汎スダメリカーナな視点がユニークなMPBで、ウルグアイのエドゥアルド・マテオやホルヘ・ドレクスレル、ペルーを代表する作曲家・歌手のチャブーカ・グランダ、チリの新しい歌運動の母、ヴィオレータ・パラ、アルゼンチン・タンゴの詩人オメロ・マンシなどを取り上げる他、自作もアルゼンチンのギタリスト、マティアス・マリアスとの共作。音楽監督でもある実兄グート・ヴィルチは、ガウショ系の先輩格、ヤマンドゥ・コスタと昨年『バイロンゴ』を発表、アルミトン・ヂ・オランダのバイリ・ド・アルメイヂーニャにも参加するベース奏者だが、今作には同じくガウショ系のアコーディオン奏者、べべ・クラメールが客演、ミルトン・ナシメントの圧倒的な声も 10. で聴ける。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:松澤正宏】


◆Grazie Wirtti / Las madreselvas

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ5月号より■その2

2016年5月31日 火曜日

月刊ラティーナ5月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介します。

フンド・ヂ・キンタルの結成40集年記念ライヴ作(マリオ・セルジオの遺作になってしまいました…)に、ポップで可愛いクラリシ・ファルカォン新作、セルソ・フォンセカ新作に、ムンド・リブリSAの気合の入ったライヴ盤に、アシェーバイーア2016!

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女優、歌手、作曲家、脚本家など26歳という若さながら多彩な才能で活躍

CLARICE FALCÃO PROBLEMA MEU クラリシ・ファルカォン プロブレマ・メウ - ウインドウを閉じる

●CLARICE FALCÃO / PROBLEMA MEU●
●クラリシ・ファルカォン / プロブレマ・メウ●

CD:2160円(税込)

女優として活動のキャリアをスタートし、歌手、作曲家、脚本家など26歳という若さながら多彩な才能で活躍しているクラリシ・ファルカォン。2012年に歌手デビュー作を発表し、翌年ラテングラミーの新人賞部門にノミネートされた。セカンドアルバムとなる本作はプロデューサーにカシンを迎え、前作でのアコースティック路線から一転して華やかな作品となった。生き生きとしたクラリシの歌声を、カシンの他、リオの新世代ヂオゴ・シュトラウスとダニロ・アンドラーヂ、バンダ・ド・マールのフレッド・フェヘイラらがバックでサポート。ポップ、ロック、フォーク、ブレーガ、ディスコといった様々な曲調が収録されているが、これからの時代性を感じる作品に仕上げたカシンの力量を随所に感じることができる好作だ。アルベルト・コンチネンチーノとハイラマズのショーン・オヘイガンがアレンジで参加していることも注目だ。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:堀内隆志】

▪️Irônico – Clarice Falcão▪️

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春を通り越して一気に夏までトリップさせてくれる1枚


VA AXÉ BAHIA 2016 VA アシェー・バイーア 2016 - ウインドウを閉じる

●VA / AXÉ BAHIA 2016●
●VA/ アシェー・バイーア 2016●

CD:1,836円(税込)

すでに春だけれど、寒さに耐え切れなくなり温暖な国に逃亡したくなる頃に毎年リリースされるコンピレーションアルバム「Axe Bahia」。2016年版もイヴェッチ・サンガーロ、アルモニア・ド・サンバ、チンバラーダ、エ・オ・チャンなど、テッパンミュージシャンはもちろんのこと、今年のサルヴァドールのカルナヴァルで最も注目されたであろう新人バンド、ヴィンガドーラの曲も収録されている。(カルナヴァルでは「Metralhadora」が大ヒットしたが、バンドが脚光を浴びるきっかけとなったのは⑭)。ここ最近ロン毛を結んですっかりアカ抜けた風貌のウェズリー・サファダォンとチカバーナの④や、意外なところでネチーニョ⑮のゆるさが○。踊るにもまったり聴くにももってこいの、春を通り越して一気に夏までトリップさせてくれる1枚。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:成田久美子】

▪️Ivete Sangalo – O Farol // Ao Vivo▪️
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セルソ・フォンセカのボサノヴァ路線。至極洗練されています。

 CELSO FONSECA LIKE NICE セルソ・フォンセカ ライク・ナイス - ウインドウを閉じる

●CELSO FONSECA / LIKE NICE●
●セルソ・フォンセカ / ライク・ナイス●

CD:2,268円(税込)

歌手、コンポーザー、ギタリストそしてプロデューサー。ボサノヴァを歌う人としていま最も国際的に知られたブラジルを代表するアーティストの一人であり、スティービー・ワンダー、カルロス・サンタナなどとステージを分けた。30年以上のキャリアを積むカリオカは、すでに15枚のCDをリリース。4年ぶりの今作は、ボサノヴァへの回帰作で、2015年ブラジルディスク大賞で、一般投票10位、関係者投票4位にランクインした人気作だ。①、③、⑤、⑦、⑫は英語曲。本人が自らの音楽的アイデンティティについて、”エレガント”であると語っているが(弊誌2月号でインタビュー掲載)まさに優雅でエレガントという表現がまさしくぴったりで、なんともリラックスのできちゃう、安心感のある声。③と⑥にはピアノでマルコス・ヴァーリがローズ・ピアノで参加。イントロのストリングから、ぐーっと心を奪われていく。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:Lissa】

▪️Celso Fonseca’s New Album▪️

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誰もが寄りかかりたくなる大樹、それがフンド・ヂ・キンタル

FUNDO DE QUINTAL 40 ANOS NO CIRCO VOADOR (CD + DVD) フンド・ヂ・キンタル 40アーノス・ノ・シルコ・ヴォアドール(CD + DVD) - ウインドウを閉じる

● FUNDO DE QUINTAL / 40 ANOS NO CIRCO VOADOR●
●フンド・ヂ・キンタル / 40アーノス・ノ・シルコ・ヴォアドール●

CD+DVD :2,808円(税込)
CD:2,160円(税込)

2000年の『シンプリシダーヂ』から数え、7枚目となるフンドのライヴ盤。毎回異なるコンセプトのライヴ盤を届けてくれるが、今回のテーマはバンド結成40周年。「サンバ・エレガンチ」と称される国宝級バンドの40年を振り返るとなれば、卒業生を集合させたくなるものだが、そこはクレベール・アウグストのみ(貴重…!)の招集で、選曲での偏りを避けることで40年間を表現。「バイーアのサンバス・ヂ・ホーダ」に元ヘヴェラサゥンのシャンヂ、そして「カシキアンド」にモノブロコを招集することが、ある意味フンドとカシーキの魂が次世代に精神的に引き継がれたかのように思える。マリオ・セルジオはグループに戻ったが、以前のように定期的に新譜を発表する状況には戻ることはないだろう。音楽的に新しいモノはそこにはなくても、誰もが寄りかかりたくなる大樹、それがフンド・ヂ・キンタル…そんな印象の1枚だ。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:船津亮平】

▪️Fundo de Quintal – Só Felicidade (40 Anos – No Circo Voador)▪️

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マンギビートも生き方だ!

MUNDO LIVRE SA MANGUE BIT AO VIVO (CD + DVD) ムンド・リヴリ SA マンギ・ビット・アオ・ヴィーヴォ(CD + DVD) - ウインドウを閉じる

● MUNDO LIVRE SA / MANGUE BIT AO VIVO●
●ムンド・リヴリ SA / マンギ・ビット・アオ・ヴィーヴォ●

DVD +CD:2,808円(税込)

ウィリー・コローンやジルベルト・ジルの言葉を借りるまでもなく、サルサやトロピカリズモと同じくマンギビートも「生き方」なのだ。シコ・サイエンスと並ぶマンギのアイコン、フレッヂ04とムンド・リヴリのキャリア初ライヴ盤が2015年収録の本作。1994年、欧米のメインストリームが「ブラジル(≒レシーフェ)がヤバい」とザワつき出したのはCSNZ『カオスのマンギビート』に加えて、『サンバ・エスケーマ・ノイズ』の存在も不可欠だった。もっと言えばこの2枚がそれ以降のリオ/サンパウロの新・新世代の音楽的発展を100倍ブーストさせたのだと思う。キャップと半ズボンの出で立ちでギターやカヴァコをかき鳴らし、北東部の多様なリズムとダウナーな曲調にのせて、繊細かつ豪快に毒を吐き社会問題を提起する…といったフレッヂ04のイメージは外見上の変化はあっても、生き方は30年以上変わらない。きっとこれからも。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:船津亮平】

▪️Mundo Livre SA – 04 – Meu Esquema – 2016▪️

フンド・ヂ・キンタルのVo、マリオ・セルジオが58歳で永眠

2016年5月30日 月曜日

フンド・ヂ・キンタル(Fundo de Quintal)のヴォーカルで、作曲家、カヴァキーニョ奏者のマリオ・セルジオ(Mário Sérgio)が、5月29日、リオデジャネイロ郊外のニロポリスで亡くなった。58歳だった。死因は膵悪性リンパ腫の合併症である。

サンパウロ市出身のマリオは、1990年にグループに参加、2008年に一度脱退したが、2013年にグループに再加入し、最新スタジオアルバム『Só Felicidade』と、グループの40周年を祝うライヴ盤『40 Anos No Circo Voador』には参加していた。

フンド・ヂ・キンタルに入る以前は、海兵隊に入った後に、経済と経営を学んでいたマリオであるが、サンバを題材にした舞台で世界各地を公演するイタリアのグループに参加し、サンバに身を捧げることに決め、帰国後にフンド・ヂ・キンタルに加入した。

彼の曲は80年代後半から録音されるようになり、フンド・ヂ・キンタルに参加したのが90年。フンド・ヂ・キンタルが多くの彼の曲を録音したのはもちろんだが、ゼカ・パゴヂーニョは90年作のアルバム『Mania da gente』から3作続けて、マリオの曲をアルバムタイトルにした(『Pixote(91年)』『Um dos poetas do samba(92年)』)。フンド・ヂ・キンタルが録音したマリオの代表曲の1つは「Amor dos deuses」で、マリオはソロアルバム『Nasci para cantar e sambar( 2009年)』でも再び取り上げていた。

フンド・ヂ・キンタルの黄金期と言われる80年代のメンバーではなかったが、サンバの世界に多くの名曲を残したサンビスタ、マリオ・セルジオが5月29日永眠した。

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昨年収録された、フンド・ヂ・キンタルの40周年記念ライヴが、遺作となってしまった…

● FUNDO DE QUINTAL / 40 ANOS NO CIRCO VOADOR●
●フンド・ヂ・キンタル / 40アーノス・ノ・シルコ・ヴォアドール●

CD+DVD

CD

新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ5月号より■その1

2016年5月30日 月曜日

月刊ラティーナ5月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。まず、イヴェッチ・サンガロのライヴベスト盤(CD/DVD)、ネイ・マトグロッソの6枚組CDBOX、イヴォール・ランセロッチ新作、サンドラ・ヂ・サー未発表曲集です。

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アゲアゲなベスト盤的作品

IVETE SANGALO SAI DO CHÃO - O CARNAVAL DE IVETE SANGALO イヴェッチ・サンガロ サイ・ド・シャオン - オ・カルナヴァル・ヂ・サンガロ - ウインドウを閉じる

●IVETE SANGALO / SAI DO CHÃO – O CARNAVAL DE IVETE SANGALO●
●イヴェッチ・サンガロ / サイ・ド・シャオン – オ・カルナヴァル・ヂ・サンガロ●

CD:2160円(税込)
DVD:2,808円(税込)

ブラジル・ポップ界の頂点に君臨し続ける女王、タイトル通りのカルナヴァル仕様、アゲアゲなベスト盤的作品が発売です。バンダ・エヴァのヴォーカルとしてデビュー、ソロになった後もアシェー・クイーンとして人気曲を量産し、地元サルヴァドールでのMTVライヴ盤のメガ・ヒットによってブラジル全土を巻き込むスターの座を不動のものにしたイベッチ。本作にはそんな彼女のエヴァ時代から現在までの新旧人気曲が散りばめられており、そのキャリアを振り返るのにも持ってこいの1枚です。大半はライヴ音源ですが、最新スタジオ録音作(1)、そして去年売れに売れたクリオーロとのチン・マイア・カヴァー集の冒頭を飾った(7)の収録は嬉しいですね。尚DVDはCDとは曲目が異なり、過去10年間のライヴ・ベスト的な内容になってます。カラフルで巨大なステージ、ダンサーの華やかさなど、最近のイベッチのショウのゴージャスさを体験したい方は是非コチラを。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:宿口 豪】

▪️Ivete Sangalo – O Farol // Ao Vivo▪️

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「ネイに駄作なし」期待に応えてくれる作品群


NEY MATOGROSSO ANOS 70 (6CD) ネイ・マトグロッソ アーノス 70(6CD) - ウインドウを閉じる

●NEY MATOGROSSO / ANOS 70 (6CD)●
●ネイ・マトグロッソ / アーノス 70(6CD)●

6CD 11,340円(税込)

ネイ・マトグロッソの70年代がリリースした6枚のソロアルバムがリマスターされ、BOXセットとして再発された。現在まで素晴らしい作品と残し続けるネイにとってどんな時代だったかというと、人気絶頂のバンド「Seco & Molhados」を脱退し、ソロのスタートを切った時期である。74年に脱退し、75年からソロ活動をスタート。最初のアルバムも75年のリリース。年に1枚のハイペースでリリースしており、75年〜80年の間にリリースした6作が収録されている。この中で一番のヒット作となったのは1978年リリースの『Feitiço』で、3曲のヒット曲を含んでいる。ただ、このリリース後に軍政令(AI-5)が発令され、選曲/活動が制限されるようになってしまった。しかしながら、多くの作家が彼に喜んで新曲を提供するような状況が確立されており、ジョビン、ジョイスなどが『Seu Tipo』で楽曲提供している。「ネイに駄作なし」期待に応えてくれる作品群である。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:花田勝暁】

CD1: AGUA DO CEU – PASSARO (1975)
CD2: BANDIDO (1976)
CD3: PECADO (1977)
CD4: FEITIÇO (1978)
CD5: SEU TIPO (1979)
CD6: ESTRANHO (1980)

▪️Ney Matogrosso – América do Sul – vídeo clip▪️

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歌う声には年齢以上に枯れた渋味がにじみ出ている71歳

IVOR LANCELLOTTI TUDO QUE EU QUIS イヴォール・ランセロッチ トゥード・キ・エウ・キス - ウインドウを閉じる

●IVOR LANCELLOTTI / TUDO QUE EU QUIS●
●イヴォール・ランセロッチ / トゥード・キ・エウ・キス●

CD:2160円(税込)

ドメニコの父、イヴォール・ランセロッチは今年71歳。抒情的なサンバ・カンサォンを中心に、ネルソン・ゴンサルヴィス、エリゼッチ・カルドーゾ、クララ・ヌネスなどに曲を提供してきた。初リーダー作の発表は86年で、ドメニコとモレーノ・ヴェローゾがプロデュースしたアルバムなどを経て、この新作が通算5作目。息子のドメニコ、アルヴィーニョとの共作をはじめ全曲オリジナルで、ファドやヌエバ・カンシオンに通じる感触の曲もある。決して上手い歌手ではなく、ギターを弾きながら語りかけるように歌う声には年齢以上に枯れた渋味がにじみ出ているが、同時に何とも言えない上品な色気がただよい、一人の男としてはまだまだ枯れていない。バックも必要最小限のシンプルな編成で、曲によりドメニコやペドロ・サーも参加。小さな音量でも息づかいや歌ごころが伝わってくるので、一人きりの深夜に聴くことをお勧めする。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:中原 仁】

▪️Tudo Que Eu Quis – Ivor Lancellotti▪️

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この人の声ヂカラに改めて惚れ惚れ

 

SANDRA DE SÁ LADO B サンドラ・ヂ・サー ラードB - ウインドウを閉じる

●SANDRA DE SÁ / LADO B●
●サンドラ・ヂ・サー / ラードB●

CD:2160円(税込)

ブラジル/サンバ・ソウル/女性歌手というキーワードで新譜を必ずチェックするのはエウザ・ソアレス、パウラ・リマ、エレン・オレリア、そしてこのサンドラ・ヂ・サーだ。彼女もこれで18枚目の作品(還暦だそうな!)今回は収録曲7曲なのでEPの扱いか。過去にリリースしヒットした曲のセルフカバーが多いにも関わらず、録音/アレンジも新たにし、ゲストを入れているので新鮮に聴ける。サウンドはロック、サンバからバラード系もあるが、デビュー当時からの一貫したソウルネスも期待通りで嬉しく、極めつけはバイリ・ファンキ!当然ハマる!最新作も最高のブシェーシャ 2. 、パゴーヂ界隈からシャンヂ 3. /チアギーニョ 4. 、さらに人気沸騰中メラニーナ・カリオカ 6. と一回り以上も下の世代を巻き込んでいるのを聴くと、彼女の創作意欲が衰えないことが窺える。過去作品も聴き直し、この人の声ヂカラに改めて惚れ惚れしてしまった。【月刊ラティーナ2016年5月号 掲載 text:村田匠(カルナバケーション)】

▪️Sandra de Sa VOU FICAR – (LadoB Musica Inédita)▪️