コサ・ヌエストラ、ラテン・グラミー受賞なるか?

ラテン・グラミーにノミネートされたアルバムを手にするティト・マンリケ© Oscar Chambi

ラテン・グラミーにノミネートされたアルバムを手にするティト・マンリケ© Oscar Chambi

 

今年のラテン・グラミー賞のトロピカル・フュージョンアルバム部門にコサ・ヌエストラの5作目となる『プレゴネーロス・デ・ラ・カジェ』がノミネートされた。

1999年にクリオーヨ音楽のミュージシャンたちを集めて結成されたこのユニットは、15年間エバ・アイヨンのギタリストとして一緒に世界を回り、うち5年は音楽ディレクターを務めたという経歴を持つティト・マンリケが率いる。

結成当初は、ミュージシャンとして演奏を楽しむことを目的とし、それぞれが別の活動に専念していたことから、あくまでも短期間のプロジェクトとして考えていたという。2002年には、セレクトしたクリオーヨ音楽の楽曲にサルサやボレロなどの要素を取り入れたファーストアルバム『コサ・ヌエストラ』を発表するが、ユニットは解散。ティト自身もエバのギタリストとして専念することになる。

その後、5年の月日が流れ、フリーのギタリスト&編曲者として、新たな活動を開始する。子どものころから親しんできた代表的なサルサの曲をペルー・ワルツやサマクエカ、ランドー、フェステホ風の楽曲に編曲したアルバムの作成を構想し、コサ・ヌエストラを再結成させることを決意。08年発表のアルバム『サルサ・クリオーヤVol.1』で、完全復活を果した。さらに、11年には国内外のミュージシャンをゲストに迎えて『サルサ・クリオーヤVol.2』、13年には『サルサ・クリオーヤ ラ・ルンバ・フィナル』と、シリーズ3作を生み出した。

しかし、サルサ楽曲のカバーだけに留まらず、もっと幅広いジャンルへの編曲やオリジナル曲の制作、さらにペルーの伝統曲のサルサ化なども進めたいと、新たな目標を掲げた。それが、15年のチリのビニャ・デル・マール音楽祭だった。ティト自身が作詞作曲したフェステホとサルサをミックスした曲「ソネーロ・デ・カジェホン」は、同音楽祭で大きな反響を呼び、フォルクローレ部門で最優秀歌手賞を受賞。

そして凱旋後には、ラテン・グラミーを目指し、構想中だった新アルバムの制作を開始。これまでのサルサのクリオーヨ音楽化に加え、アフロペルー音楽を代表するカイトロ・ソトの「トロ・マタ」とペペ・ビジャロボスの「コマドレ・ココリーチェ」をサルサのリズムに編曲し、さらにはティトのオリジナル3曲を収録した渾身のアルバムを今年4月に発表。今回のノミネートへと至った。

強豪ぞろいの部門だが、結果は如何に?

(ペルー●川又千加子)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ11月号に掲載されています。
こちらから購入ができます。