新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その4

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。女性ヴォーカルの二人、カロル・アンドラーヂ、カチア・テイシェイラについて紹介します。

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すっと心に染み入る良作

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⚫︎CAROL ANDRADE / SORRIA
⚫︎カロル・アンドラーヂ / ソヒア
CD:2,376円(税込)

◆カロル・アンドラーヂは1978年サンパウロ生まれ。2013年の『オウトラス・ムリェーリス』以来2枚目となるソロアルバムが本作で、ブラジリダーヂに溢れる清廉かつ親密な歌声を聞かせてくれる。前作ではその名の通り、ブラジルの女性作曲家にオマージュを捧げ、彼女たちが残した名曲をカロル自身のフィルターを通してカバー/再演。90年代末からの共同作業となるアレックス・マイアが指揮を執っており、最新作でも盤石の体制に変化はない。シキーニャ・ゴンザーガ、ファッチマ・ゲヂス、ジョイス、ヒタ・リー、アドリアーナ・カルカニョットを取り上げた前作に対し、本作は自作曲のみで構成。アレックスの流麗な演奏に乗りながら、外連味も小細工も効かせず歌う。ホーザ・パッソスに捧げる②に代表されるように、激しく心を揺さぶる、といった類いの音ではないが、すっと心に染み入る良作。ジョイスやホーザが好きなら手に取るべきだろう。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:船津亮平】

▪️Carol Andrade e Alex Maia / Nos passos da Rosa

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キャリア20年の実力派!

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⚫︎KATYA TEIXEIRA / CANTARIAR -21 ANOS DE CARREIRA-
⚫︎カティア・テイシェイラ / カンタリアール -21アーノス・ヂ・カヘイラ-
CD:2,268円(税込)

◆実に過去4作中3作がブラジル音楽大賞にノミネートという実力派、フォルクローレ女流派の旗手的存在のカチア・テイシェイラ。新旧異種様々な文化や音楽が混ざり合い、変化を繰り返すブラジルにあって、対照的にその源流をストイックに遡り続ける修験者だ。凛とした空気感、深い哀愁を帯びた曲は娯楽というより極上の癒しとして、ブラジルはもちろん広く南米各国のラティーノスたちの心までも強く揺さぶってきた。5作目はキャリア20年を越えた彼女のマイルストーン的な思い入れの強い作品で、自作曲のほかにも、エルメート・パスコアルやアウミール・サテールらへの提供でも知られる御大ジョアン・バー、ホヂーニャ・ヂ・ヴァレンサらの楽曲に、フォルクローレを含む15曲を厳選。広い大地を見渡すような抜け感と、美しい情景が思わず目に浮かぶ心地良さは特筆モノだ。同じ空気感を持つモニカ・サウマーゾあたりの愛聴者には聴き応え抜群のはず。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:谷口 洋】

▪️KÁTYA TEIXEIRA & TARANCÓN / Canto Lunar

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