新作ブラジル盤紹介■月刊ラティーナ10月号より■その1

月刊ラティーナ10月号で紹介したブラジルからの輸入盤を紹介していきます。女性ヴォーカル特集その1として、ジュリアーナ・コルテス、クララ・グルジャォン、グラジイ・ヴィルチです。

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ディエゴ・スキッシ参加!極上のMPB作品

IND JCG2016

⚫︎JULIANA CORTES / GRIS
⚫︎ジュリアーナ・コルテス / グリス
CD:2,160円(税込)

◆音の空間を意識したチェンバー・サウンドに乗せて、落ち着いた歌声が聞こえてくる極上のMPB作品。ブラジル南部の町クリチバ出身のジュリアナ・コルテスは、本作が2作目となる。プロデュースは、ナー・オゼッチの兄でもあるダンテ・オゼッチ。様々なタイプのナンバーが収められているが、とくに耳に残るのはアルゼンチンのタンゴやジャズ・シーンで才気を放つディエゴ・スキッシの参加曲。憂いに満ちたピアノと彼のキンテートのメンバーによるアンサンブルが、国境を行き来する感覚で楽しませてくれる。デュエットというよりはダイアローグといった方がしっくりくるパウリーニョ・モスカとの共演もユニークだ。また、アントニオ・ロウレイロがヴィブラフォンを弾いたガムラン風のアレンジに惹きこまれるなど、伏線がたくさんあってバラエティに富みながら、ジュリアナの抑制されたトーンの声が耳に残って心地いい。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:栗本 斉】

▪️Juliana Cortes e Paulinho Moska / MISMO

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カシンらプロデュースのポップなサウンド。澄んだ高音の美声
IND CG905155

⚫︎CLARA GURJÃO / ELA
⚫︎クララ・グルジャォン / エラ
CD:1,944円(税込)

◆ジャズサンバのギタリスト、ガットギターとヴォーカルのトリオのメンバーとしてリオのライヴ・サーキットで活動し、ヴァネッサ・ダ・マタのジョビン集で編曲と音楽監督のアシスタントをつとめたクララ・グルジャォンの、シンガー/ソングライターとしてのファーストアルバム。カシン、キーボード奏者のダニロ・アンドラーヂ(10月にカシンと共にソンゼイラ・ライブバンドのメンバーとして来日)、ベテラン・ドラマーのマルセロ・コスタとの共同プロデュースで、カエターノ作の○5とキューバの名曲 11. を除き全曲、彼女のオリジナル。サウンドはカシンの色が濃く、ジャズやキューバ音楽の要素も反映したポップな仕上がりだ。澄んだ高音の美声にはジャケットのイメージどおりコケティッシュな魅力があり、ヴァネッサや 7. にゲスト参加したシルヴィア・マシェッチに通じるキャラも備えている。声とギターが軸のアルバムも聴いてみたい。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:中原 仁】

◆Clara Gurjão / Ela

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今年上半期の女性Voの作品の良作の1つ!

BA_GW001

⚫︎GRAZIE WIRTTI / TUNGUELE
⚫︎グラジイ・ヴィルチ / トゥンゲレ
CD:2,268円(税込)

◆ブラジル最南端のリオ・グランヂ・ド・スル出身、ムジカ・ガウシャの音楽一家に育ち、現在はラパ周辺で活動するSSW、グラジエ・ヴィルチのデビュー作。汎スダメリカーナな視点がユニークなMPBで、ウルグアイのエドゥアルド・マテオやホルヘ・ドレクスレル、ペルーを代表する作曲家・歌手のチャブーカ・グランダ、チリの新しい歌運動の母、ヴィオレータ・パラ、アルゼンチン・タンゴの詩人オメロ・マンシなどを取り上げる他、自作もアルゼンチンのギタリスト、マティアス・マリアスとの共作。音楽監督でもある実兄グート・ヴィルチは、ガウショ系の先輩格、ヤマンドゥ・コスタと昨年『バイロンゴ』を発表、アルミトン・ヂ・オランダのバイリ・ド・アルメイヂーニャにも参加するベース奏者だが、今作には同じくガウショ系のアコーディオン奏者、べべ・クラメールが客演、ミルトン・ナシメントの圧倒的な声も 10. で聴ける。【月刊ラティーナ2016年10月号 掲載 text:松澤正宏】


◆Grazie Wirtti / Las madreselvas

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