南米初開催のオリンピック開会式はブラジルにしかできない華やかな一夜に!

パウリーニョ・ダ・ビオラ

パウリーニョ・ダ・ビオラ

トリを飾ったカエターノ、アニッタ、ジル

リオデジャネイロでオリンピックの祭典が、8月5日にマラカナン競技場で開幕した。今回は、個人資格での出場も含めた約1万1000人を超える選手、史上最多となる205の国・地域などが参加し、17日間の熱戦を繰り広げた。

開会式の演出を担当したのは、アカデミー賞ノミネート作品『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス監督。弦楽オーケストラの演奏と共に名誉あるブラジルの国家斉唱を歌った国民的サンバ歌手のパウリーニョ・ダ・ヴィオラ。鮮明で愛情溢れる暖かいパウリーニョの歌声は、ブラジル国民はもとより、海外からも高い評価を浴びた。

スタジアムの中央の銀色シートで打ち寄せる波を作り、ブラジル発見、ポルトガル人来航、黒人の奴隷労働の開始、さらにアラブ系そして日本人移民の歴史を語り、ブラジル文化の奥深さを演出。

航空界のパイオニアとしてヨーロッパでその業績を高く評価されたサントス・ドゥモンが、マラカナンの空中に突如現れ、上空を飛び立つという大胆なセットと共に聞こえてきたのは「Samba de Avião」(飛行機のサンバ)。この曲は、2016年パラリンピックのマスコットに選ばれた、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品だ。

続いてリオ・オリンピックのマスコット、ブラジル音楽の巨匠、ヴィニシウス・ヂ・モライスとジョビンの共作で有名なボサノヴァの曲「Garota de Ipanema」(イパネマの娘)が響き渡り、ブラジル出身の世界的スーパーモデル、ジゼル・ブンチェンが、アレキサンドレ・ヘルコビッチ(ブラジル人デザイナー)のデザインしたロングドレスに身を包み、スタジアムにパリコレを蘇らせるかのように、輝かしく登場し観客を魅了。歓喜をため息に変え湧き上がらせた。

続いてブラジルの伝説的歌手、79歳のエルザ・ソアレスが登場し、ヴィニシウスの曲「Canto de Ossanha」を歌い、迫力ある声でブラジル人女性として世界に存在感をアピールした。

五輪開幕の宣言、五輪旗の掲揚、選手宣誓の後、サンバのリズムでダンサー達が登場し、スタジアムにカラフルな紙吹雪が一気に舞い、華やかなリオのカーニバル会場へと魔法のごとく変身した。そして世界に歴史を刻む舞台にトリを飾ったアニッタ、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルは、アリ・バホーゾの「Isto Aqui, o Que É?」を歌い、ブラジル音楽の絶大な魅力を世界に披露した。

南米初のオリンピックに華やかなファンファーレを飾り、目を見張るほどに輝かしく美しい祭典の一夜で世界を魅了した。

(リオデジャネイロ●MAKO)


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