ノーヴォス・バイアーノスの再結成に大熱狂

ノーヴォス・バイアーノスの野外劇場改築記念ライヴ

ノーヴォス・バイアーノスの野外劇場改築記念ライヴ

先月の海外ニュースでお伝えしたノーヴォス・バイアーノスのライヴが、雨の中行われた。

彼らのライヴは、コンシャ・アクースチカ野外劇場の改築記念ライヴのメインイベント。チケットは、発売後1時間で売り切れ、翌日も急遽アンコール公演が追加された。5千人収容の劇場の入り口には、同グループグッズのTシャツやバッジが販売され、飛ぶように売れていた。70年代にヒットしたグループであるにもかかわらず、観客は家族連れから若者まで実に幅広い年齢層だ。だいぶ昔に流行った音楽とは違う世代で生きている若者たちが、それを新鮮な音楽としてとらえ、共感することがブラジルで見られる。亡くなったハウル・セイシャスやヘナト・フッソの音楽もそうだろう。

19時開始予定より1時間遅れてグループはステージに登場。ベイビー・コンスエロは、「ここは、かつてライヴをした時、楽屋で自分の娘に母乳を飲ませたことがある思い出深い劇場だ」と語った。今回のライヴは、ローリングストーンズ誌で高い評価を得た1972年の伝説的アルバム『Acabou Chorare』のレパートリー。そのため、みんなが知っている曲のオンパレードで観客も大合唱。途中でこのグループの育ての親的存在のジョアン・ジルベルトをオマージュするために、ベイビーが「デザフィナード」、モラエスが「シェガ・ジ・サウダージ」を歌った。ライヴで一番目立っていたのは、影響を受けたジミー・ヘンドリックスばりのギターテクニックを披露してくれたペペウ・ゴメスだった。ルイス・ガルヴァウンの詩の朗読もなかなか味があった。

ただ、同時に高齢化したミュージシャンたちが、当時と全く同じことを繰り返して歌った単なる懐古ライヴのようにも感じられた。それでも観衆が大熱狂した背景は、やはり長年語り継がれてきたこのグループが久しぶりに再結成されたことに対する喜びからくるのだろう。軍政という自由のきかない時代に、共同生活をしながら好きなように音楽活動をしてきたこのグループはブラジル人のあこがれでもあろう。Youtubeで「Novos Baianos F.C.」と検索すれば当時のドキュメント映像を見ることができる。

最後にリフォームされたコンシャ・アクースチカ劇場は、以前と違い見違えるほど立派になっており、かなり多額のお金がかけられたと思う。しかし、ライヴ中にベイビーが何度も横のPAに音を上げてくれと注文していたが、まずそういった基礎的なことから直してもらいたいと思ったライヴでもあった。

(サルヴァドール●北村欧介)

こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ7月号に掲載されています。

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