リュイス・リャックが音源のアーカイブ化を開始

州議会で発言するリュイス・リャック。憲法制定プロセス委員会の委員長も務める。

州議会で発言するリュイス・リャック。憲法制定プロセス委員会の委員長も務める。

昨年9月のカタルーニャ州選挙で左右の枠組みを超えた独立支持勢力の統一候補者リストJunts pel Sí(ジュンツ・パル・シ)のジローナ州筆頭候補として出馬して州議会議員となったリュイス・リャック。選挙キャンペーンに用いられたことで『Viatge a Ítaca(イタカへの旅)』がカタルーニャの独立プロセスのシンボルとなったこともあり、このところ強硬な独立支持の政治家としての活動にばかり注目が集まっていた。三月には民主化の混乱の中、バスクで起こった警察による労働者の弾圧事件をテーマにした『Campanades a morts(死者へ捧げる鐘)』で権力の不正の告発に大きく貢献したとして、ビトリア市が表彰しようとしたところ、現役の議員であることを問題視する声が上がって市議会で否決されるという出来事もあった。

そんなリャックが、久々に音楽活動に関するニュースでマスメディアに登場した。テレビで放映して以降お蔵入りになっていたコンサート映像をデジタル化してネット公開すると発表したためだ。リャックは以前から公式アカウントを通じてYoutube上でアルバムのアーカイブ化を進めており、現在の時点で15作品が並び、各曲の頭出しもできるようになっている。

第1弾は6月7日に公開された『ARA – Lluís Llach 25anys en directe(現在ーリュイス・リャックの25年ライヴ)』。音楽活動25周年を記念して1992年12月に放送された1時間のライヴ映像だ。今後は2007年の三時間以上に及ぶ引退コンサート、十万人を超える観衆を集めた1985年のカンプノウ・スタジアム(FCバルサの本拠地)、1995年ビクトリア劇場での『Porrera』発売記念ライヴ、バルセロナオリンピックのメインスタジアムだったパラウ・サン・ジョルディでの公演など、カタルーニャの歴史の記憶に刻まれた計7公演が順次公開される予定になっている。

音源のアーカイブ化という作業は、以前であれば新たにアルバムやDVDとして発表していたはずだが、スペインではSpotifyのような音楽のストリーミング配信サービスで音楽を聴くことが主流になり、CDショップも地方都市ではほとんど見かけなくなった。こうした現状では、できるだけたくさんの人の耳に届けようとするならば、ネットで公開というのが最も現実的な選択肢となるのだろう。

(スペイン●海老原弘子)

こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ7月号に掲載されています。

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