世界に広がる支援活動 熊本地震への救いの手が海外からも

ロンドンで義援ライブを開催した堀内加奈子

ロンドンで義援ライブを開催した堀内加奈子

4月14日に熊本県で発生した熊本地震は、イギリスに住む日本人にも大きな衝撃を与えた。以降、熊本に義援金を送り支援するライヴなどがロンドンとその近郊で行われている。

去る5月21日の夜、ロンドン南東のパブで沖縄民謡歌手の堀内加奈子がライヴを行った。北海道出身の堀内は大城美佐子に弟子入りして唄と三線の腕を磨き、国内外で活動している。ロンドンのライヴでは「安里屋ユンタ」や「童神」などの人気曲に加え、熊本民謡の「おてもやん」を披露して大いに盛り上がった。

このライヴで集まった義援金は、英国熊本県人会を介して熊本県庁設置の義援金口座に送金される。彼らはフェイスブックを通してイベント告知や義援金募集を行っており、その活動は熊本の新聞でも取り上げられたところだ。博多発のラーメン店「一風堂」のロンドン店を始めとする日本食レストランからも、県人会に義援金が集まっているそうだ。

他にこれから予定されているものには、DJイベント「ジャパン・サウンド・ポートレイト」が、トレンドの先端を行く東ロンドンの日本食レストラン・バーで6月21日に開催。フランク・チキンズ(1980〜90年代に活躍した在英日本人によるポップ・グループ)の元メンバーと日本音楽好きの英国人DJ4人が選りすぐりの曲を持ち寄って競演する。

25日にはオックスフォード州在住の日本人によるチャリティ・イベント「絆」が開催。地元のミュージシャンによるコンサートを始め、書道や折り紙のワークショップ、日本食販売などが行われる他、東日本大震災より5年を経た現在の東北と熊本の現状を伝えるトークが開催される。26日には西ロンドンの日本人コミュニティにある教会で「ロード・オブ・ホープ」が開催。子供たちによる聖歌隊や太鼓奏者、ピアノ奏者など日英のアーティストが出演する。

2004年のスマトラ島沖地震以後、日本語の〝津波〟は〝TSUNAMI〟として世界共通語となり、一般に広く知られるようになった。日本で地震が発生する度に、イギリス人の地震に対する関心や認識も高くなっており、それがこういったイベントへのサポートに繋がっているのだと感じる。

母国から遠く離れた異国で故郷の人々が苦しむ姿を見るのは、とても辛い。異国の地で色んな人に助け支えられて生活しているからこそ、何か自分にできることをしたいと一層強く思うのかもしれない。そんな思いが、少しでも多くの人に届きますように。

(ロンドン●岸由起子)

こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ7月号に掲載されています。

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